パソコンデスクは、デスクワークをするオフィスにおいて欠かせない家具ですが、違いがわからずなんとなく選んでしまいがちです。実は、パソコンデスクには適正な高さがあることをご存じでしょうか。せっかくなら適正な高さのパソコンデスクを選び、社員が快適に働けるようにしたいところです。
この記事では、パソコンデスクの適正な高さについて解説します。デスクに合わせた椅子の選び方や、パソコンデスクの高さを重視すべき理由も紹介するので、参考にしてみてください。
パソコンデスクの高さに関する基本知識
パソコンデスクの高さについて知らなければ、適正なものを選ぶことはできません。まずは、パソコンデスクの高さに関する基本的な知識を押さえておきましょう。
パソコンデスクの高さの規格とその理由
パソコンデスクには、高さの規格が存在します。現在推奨されているのは、720mmです。
第二次世界大戦後、日本に米軍規格のデスクが導入されるようになりました。その際、アメリカの標準であった740mmという高さが日本でも標準となったのです。これは、旧JISと呼ばれていました。その後、アメリカ人と日本人の身長の違いを考慮し、より日本人の平均身長に合わせた規格をJISが設定。これは新JISと呼ばれる規格で、デスクの高さは700mmとなったのです。
しかし、日本人の体格が戦後よりも向上したことで、新JISは日本人にとって使いづらい規格となってしまいました。そのため、新JISは参考値とされ、2011年にはJOIFA(日本オフィス家具協会)が新しい推奨値を提案することになったのです。そこで基準となったのが、720mm。現在の日本人の体格に合うと同時に、ヨーロッパでも採用されており国際的にも通用するため、現在パソコンデスクの高さは720mmが推奨されています。
身長に適したデスク高さの選び方
デスクの高さは推奨値が決められていますが、一人ひとり身長は異なるためそれぞれに合う高さは違います。個人の身長に合わせてパソコンデスクを導入するなら、適正な高さを求められる計算式を使用するのがおすすめです。
また、パソコンデスクの高さを身長に合わせても、椅子の高さが合っていなければ意味がありません。パソコンデスクを選ぶときは、デスクの高さに合わせた椅子もセットで選びましょう。
机の適正な高さを求めるためには、まず正しい椅子の高さを求める必要があります。椅子の高さとして算出すべきは、座面の高さと差尺。差尺とは、椅子の座面から机の手を置く部分までの高さです。一般的に適正な座面の高さを求めるための計算式は、「身長×1/4」。適正な差尺を求める計算式は、「身長×1/6」です。例えば、身長が160cmの方であれば、座面の高さは40cm、差尺は26.6cmが適正値となります。
ここから、パソコンデスクの適正な高さを求めましょう。デスクの適正な高さは、「座面高+差尺」で算出できます。身長160cmの方は適正な座面の高さが40cm、差尺が26.6cmなので、デスクの高さは66.6cmが適正です。
デスクの高さに合わせた椅子の選び方
デスクの高さに合わせた椅子を選ぶために、以下のポイントを知っておきましょう。
デスクに合った椅子の高さ調節方法
パソコンデスクを新しく購入しても、椅子は以前から使用していたものをそのまま使うケースもあるかもしれません。そのような場合は、椅子の高さをデスクに合わせて調節してみてください。
まずは、座面の高さを調節します。先述の計算式で適正な高さを算出すると同時に、座ったとき足裏全体が床につくことを確認しましょう。そして、かかとに膝から先の体重が乗っていれば、座面の高さは適正です。座るときは腰が背もたれにつくよう深く腰掛けて、背筋をまっすぐ伸ばしてください。
座面の位置を調節できる場合は、座ったときに座面の先端と膝裏の間に拳1つ分の隙間が空くように位置を設定するのがコツです。座面の位置を変えることで、既存の椅子が新しいパソコンデスクに合わせられることもあります。
デスクの高さに対応する椅子の高さの種類
デスクの高さに対応する椅子を選ぶためには、座面の高さに注目しましょう。先述のとおり、適正な座面の高さは身長から算出できるので、適切な座面高の椅子を購入してください。
椅子のサイズは、日本語ではなくアルファベットで表記されていることがあります。座面の高さはSH(seat height)で表されるため、SHの値が算出した数値に近いかチェックしてみましょう。なお、H(height)と書かれている場合は基本的に椅子全体の高さを表すため、間違えないようにしてください。
座椅子を使用する際のデスク高さ調整のポイント
座椅子を使用する場合は、ロータイプのパソコンデスクと組み合わせる必要があります。座椅子を使うと直接床に座るよりも厚みが生じるため、デスクも少し高めにしましょう。高さ調整ができるローデスクなら、使う人の体格や座椅子の厚さに合わせられます。
デスクと椅子の高さの調整が重要な理由
デスクと椅子の高さを調整すべき理由として、以下の2つが挙げられます。
デスクと椅子の高さのバランスが姿勢や健康に及ぼす影響
パソコンデスクと椅子の高さのバランスが悪いと、正しい姿勢を保つことができません。デスクワークは長時間同じ姿勢を取り続けることもめずらしくないので、正しい姿勢を保てなければ体に大きな負担をかけてしまいます。
パソコンデスクと椅子の高さが合っていないと、肩こりを招きやすくなります。デスクと椅子の高さが適正でないと正しい姿勢を維持できず、体に余計な力が入ることに。その結果体に負担をかけて、肩こりが起こりやすくなってしまうのです。
肩こりが悪化すると、頭痛を併発することもあります。肩こりが原因の頭痛は緊張型頭痛と呼ばれ、上半身の筋肉が凝り固まることで発生。パソコンデスクと椅子の高さが合っていない場合、前かがみなどよくない姿勢になりやすく、肩こりからの頭痛が起こりやすくなります。
パソコンデスクと椅子の高さが合っていないことで起こる健康上の悪影響は、上半身だけに留まりません。デスクに対して椅子の座面が高すぎて足裏全体が床につかない場合、下半身が圧迫されて血行が悪くなってしまいます。下半身の血行不良は、冷えやむくみなどにつながりかねません。
社員の健康を守るためにも、適正な高さのパソコンデスクと椅子の導入を検討してください。
高さ調整による作業効率と快適性の向上
パソコンデスクと椅子の高さを調整することで、作業効率と快適性が高まります。
デスクと椅子の高さが合っていないと、無理な姿勢を取り続けることになります。無理な姿勢は体に負担をかけ、集中力を奪って作業効率を落としてしまうため注意が必要です。デスクと椅子の高さを適正にして正しい姿勢を取れるようにすると、快適性が高まり仕事に対する集中力もアップするでしょう。
まとめ:適切なデスクと椅子の高さでより良い仕事環境を
適正な高さのデスクと椅子があれば、より良い仕事環境を整えられます。
適切なデスクと椅子の高さで仕事環境を改善する方法
デスクと椅子の高さが適正であれば、仕事環境を整えることが可能です。
デスクと椅子の高さを合わせると、社員は正しい姿勢で仕事ができるようになります。正しい姿勢をキープできれば体にかかる負担を軽減させることができ、健康上の悪影響やストレスを抑えられるでしょう。その結果仕事の効率が上がり、生産性の高い職場環境に整えられます。
社員のニーズに応じたオフィス環境づくりの重要性
社員のニーズに応じたオフィス環境づくりをすることは、社員の負担を軽減するとともに会社の業績アップにつながります。
負担がかからないようデスクと椅子の高さを合わせるなどでオフィス環境を整えれば、社員の健康状態を改善することが可能です。昨今では健康経営という言葉も注目されており、社員が健康であれば会社も健康に発展できるとされています。さらに、社員が健やかに働けると会社に対する満足度も上がり、離職率の低下や業績の向上につながるため、社員のニーズに合わせてオフィス環境を整えることは経営において大切です。
これからのオフィス環境整備のトレンドとは
近年のオフィス環境は、会社目線ではなく社員目線での整備が進んでいます。また、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響は大きいため、時代に合わせて環境を整えていくことが必要です。
今後のオフィス環境のトレンドとして、社員満足度の向上が挙げられます。テレワークが一般化しても、オフィスに出社することで社員が満足感を得られるように、環境を整備する必要があります。社員が働きやすいように適正サイズのデスクや椅子を導入したり、コミュニケーションを活性化させるゾーニングを取り入れたりして環境改善を図ってみてください。
パソコンデスクは適正な高さのものを導入することで、社員の健康の悪化を防ぎ業務効率化につなげることが可能です。身長から適正な高さを算出することで、一人ひとりに合ったデスクを導入できるでしょう。パソコンデスクと高さの合う椅子を取り入れて、社員が無理のない姿勢でデスクワークできるよう環境を整えることをおすすめします。