自宅や職場でのデスクワークで使用している机。仕事の場合などはどうしても座った状態が長く続くことになり、日常的に疲れを感じてしまっている方も多いのではないでしょうか。そんなときは、一度机の高さが合っているかチェックしてみることをおすすめします。実は机には最適な高さがあり、使用者によって異なるのです。自分に適した高さのものを使うことで、疲れを軽減できる可能性があるかもしれません。この記事では、机の理想的な高さについて解説します。

机と椅子の高さの関係性について

パソコンデスクと椅子

立ったまま作業ができる「スタンディングデスク」と呼ばれる机も世の中にはありますが、多くの方は椅子に座りながら机で作業をしているのではないでしょうか。仮に机の高さが合っていたとしても椅子の高さが合っていないと、正しい効果は得にくいです。そのため、机の最適な高さを求めるのであれば椅子も同様に最適な高さを求める必要があります。座って作業を行うなら、机と椅子は切っても切れない関係であることを理解し、それぞれに適した高さを把握することが大切です。

机と椅子の高さを選択する際に考慮すべき点

机と椅子の高さを選ぶときにチェックしたいのは、差尺(さじゃく)です。差尺とは、椅子の座る面から机に置いた手の位置までの長さ30㎝ほどの差尺が、机と椅子の最適な高さだといわれています。椅子が少し低い場合は、クッションを敷くなどして調整すると良いでしょう。なお、食事がメインの使用方法となるダイニングテーブルの差尺は、デスクワーク用の机よりもやや低い27~28㎝が目安とされます。使用シーンに応じた高さ選びが大切です。
これから新しく机と椅子を購入しようと考えている方は、購入する順番に注意。先に机を選んでしまうと机に合わせた椅子を買わなくてはいけなくなり、結果として最適の高さに満たない椅子しか選択肢に残らない可能性が否定できません。先述した通り机と椅子双方を理想の高さにする必要があるので、まずは椅子から選び、その後差尺を参考に机を選んでください。

机と椅子の高さが理想的かどうかをチェックする方法

机と椅子の高さが適しているかどうかは、座った状態の姿勢を見ることで判断できます。まずは椅子の高さですが、膝下を垂直に下ろして両足の裏が床についているかどうか確認してください。足裏がすべて床についていれば、適切な高さです。さらに膝裏が床と平行なら、理想の高さといえるでしょう。
続いて、机の最適な高さですが、背筋を伸ばし垂直に腕を下ろした状態で机の上に手を置いてみてください。このとき確認すべきなのは、肘の角度約90度なら、理想的な机の高さです。

机と椅子の高さが最適に調整されていることのメリット

机と椅子が自分の身体に適した高さになっていると、正しい姿勢を維持しやすくなります。その結果、身体への負担が小さくなり、ストレスの緩和にもつながっていくのです。何より疲れを蓄積しにくいので、長時間にわたって作業を行うことが可能。普段デスクワークで疲れを感じている方は、高さが合っているのかどうか調整してみてください。

机と椅子の高さが合っていないことが健康に与える影響

机と椅子の高さがマッチしていないと、身体にさまざまな影響を及ぼします。たとえ自分にとって楽な姿勢であったとしても、実は身体に負担をかけているかもしれません。高さが適していないことで受ける大きな影響として挙げられるのは、正しい姿勢を維持しにくくなることによる姿勢の悪化。無理な姿勢が続くことで身体に力が入り、肩こりや頭痛を起こしやすくなります。
また、椅子の高さが合わず足が床についていない状態が続くと血行不良になることも少なくありません。血の巡りが悪くなり、冷え性などになってしまうので注意してください。

理想的な机と椅子の高さを計算する

メジャー

机と椅子が自分に適した高さかどうかは、前述の通り座った状態の姿勢を見ることでチェックできますが、計算式を用いて求めることも可能です。特にこれから購入する場合はあらかじめ計算しておき、自分に適した高さを算出しておくことで机や椅子を選びやすくなるでしょう。ここでは実際に計算方法をご紹介します。

身長を測って理想的な机と椅子の高さを算出する

自分に適した机や椅子の高さを求めるために、まずは身長を測らなければなりません。身長を測れば、準備はOK。下記の計算式に当てはめて、それぞれの理想の高さを算出していきます。

座面までの椅子の高さ=身長×0.25-1
差尺=身長÷6
机の高さ=座面までの椅子の高さ+差尺

例えば身長が180㎝だった場合を考えてみましょう。上記の計算式に当てはめると、以下の通りです。

座面までの椅子の高さ……180×0.25-1=44
差尺……180÷6=30
机の高さ……44+30=74

机の高さは74㎝ほど、椅子の座面までの高さは41㎝ほどが理想だということがわかります。しかし、これはあくまで計算によって導き出された数値。人ですから、同じ身長だとしても胴体や足などの各部位の長さは個々人によって異なります。計算から導いた数字は参考程度にとどめ、最終的には自分で姿勢を見ながら調整していくと良いでしょう。

適切な机と椅子の高さで快適な職場環境を実現する

机と椅子の高さの重要性、そして適切な高さかどうかのチェック方法がわかったら、職場などで自身の机や椅子を最適な高さに調整することで、デスクワークもしやすくなるはずです。ここでは、机や椅子の細かな調整方法と、デスクワークをより快適にするための方法をご紹介します。

快適なデスクワークのためのセットアップ

オフィスで仕事を行う場合、机と椅子は職場で用意されたものを使用します。高さが合っていれば問題ないのですが、合わなくても気軽に交換することができません。そこで、身の回りのものを活用して理想とする椅子と机の高さを手に入れましょう。
具体的には、椅子の高さが足りない場合には足下や座面にクッションなどを敷いて調整します。机も同様で、理想とする高さが不足している場合は高くするのがおすすめです。ただし、机の場合クッションのような柔らかな素材だと作業がしにくくなるので注意してください。机の上に置くための小さなテーブルや机の脚の下に台座が売られているので、それらを利用して調整しましょう。

快適さを向上させるために人間工学に基づいたその他の要素を利用する

さらに快適さを求めるのであれば、人間工学に基づいて作られたものを導入して利用するのもひとつの方法です。人間工学とは、人が無理なく自然な動きで使えるよう考えられた技術のこと。人間工学に基づき設計された椅子などは、座り心地もよく考えられており快適に作業ができるように作られています。
人間工学に基づいて設計されるのは、椅子用のクッションやマウスなど多岐にわたります。デスクワークにより快適性を求めるなら、人間工学に基づいて設計された商品に注目してみると良いでしょう。

まとめ

デスクワークを長時間行うと、どうしても疲労がたまりやすくなります。しかし、正しい姿勢を維持してデスクワークを行うことで、疲れにくくすることは可能です。正しい姿勢をキープする一番の方法は、机と椅子を理想的な高さすること。最適な高さは計算で算出できるほか、座った状態の身体の位置を見ることで簡単に把握できます。デスクワークの時間が増えた、最近疲れがたまっている方は、一度ご自身の机や椅子の高さを見直してみてはいかがでしょうか。