デザイナーズチェアというと、どのようなイメージが浮かぶでしょうか。単なる家具を超え、芸術作品としての価値を持つこれらのチェアは、インテリア愛好家たちの心を掴んで離しません。この記事では、デザイン界の巨匠たちが創り出した、時代を超えて愛されるデザイナーズチェアの名作13選をご紹介します。
正規品からアンティーク、ジェネリック品に至るまで、購入方法とその魅力を詳しく解説していきます。これからデザイナーズチェアを購入しようと考えている方はもちろん、その美しさに触れたい方にも必見の内容です。
デザイナーズチェアとは
デザイナーズチェアとは、単なる座り心地の良さを超え、デザインの芸術性や機能性を高度に融合させたチェアのことを指します。これらのチェアは、特定のデザイナーによって創作され、その時代の文化や芸術的価値観を反映した作品として知られています。
いつからはじまった?デザイナーズチェアの歴史
デザイナーズチェアの歴史は、産業革命後の19世紀後半に始まります。この時期、技術の進展に伴い、家具のデザインに革新がもたらされ、個性豊かなチェアが生まれました。20世紀に入ると、モダニズムの流れとともに、機能美を重視したデザインが登場。ここから、デザイナーズチェアは芸術作品としての地位を確立しました。
時代を色濃く反映したデザインと機能性を兼ね備える
デザイナーズチェアは、その時代の社会的背景や文化を反映したデザインで知られています。例えば、バウハウスやミッドセンチュリーなどの流行は、シンプルかつ機能的なデザインを生み出し、現代でも多くの人々に愛されています。また、エルゴノミクス(人間工学)を取り入れた機能性と美しさを兼ね備えたチェアも登場し、デザインの幅を広げています。
デザイナーズチェアの買い方3つ
デザイナーズチェアを購入する際には、大きく分けて「正規品」「ジェネリック品」「アンティーク品」の3つの選択肢があります。
正規品を買う
正規品とは、デザイナーの意図を忠実に再現した公式な製品のことです。品質の保証やメーカーによるアフターサービスが付いており、長期的な使用を考えると最も確実な選択肢と言えます。
ジェネリック品を買う
ジェネリック品は、元のデザインにインスパイアされた製品で、正規品よりも手頃な価格が魅力です。ただし、品質やデザインに差があるため、購入時には詳細な比較検討が必要です。
アンティーク品を買う
アンティーク品は、年月を経たオリジナルのチェアです。独特の風合いや歴史的価値がありますが、状態の確認やメンテナンスの必要性が高くなります。
デザイナーズチェアの名手と作品13選
世界には数多くのデザイナーズチェアが存在しますが、ここでは特に影響力のあるデザイナーとその代表作を13選紹介します。
マルセル・ブロイヤー
マルセル・ブロイヤーは、20世紀を代表するモダニズムの巨匠で、彼の作品は今なお多くの人々に影響を与え続けています。彼は、機能性と美的魅力を兼ね備えたデザインで知られています。
ワシリーチェア
ワシリーチェアは、1925年にデザインされた革命的なチェアです。鋼管を使った極めて斬新なデザインで、モダニズムデザインの象徴的存在となりました。その機能的でシンプルな形状は、今日でも多くのデザインに影響を与えています。
チェスカチェア
チェスカチェアは、1930年代にデザインされたもう一つの名作です。曲線的で流れるような形状が特徴で、素材の可能性を最大限に活かした作品として高く評価されています。ブロイヤーのデザイン哲学が色濃く反映されたチェスカチェアは、彼の代表作の一つとして今もなお多くの人々に愛されています。
ミース・ファン・デル・ローエ
近代建築の三大巨匠の一人として知られ、そのデザインは現代建築に多大な影響を与えています。彼はバウハウスの校長を務め、アメリカに亡命後もさまざまな建築のデザインに携わりました。
バルセロナチェア
このチェアは、1929年のバルセロナ万博のドイツ館でスペイン国王アルフォンソ13世を迎えるために作られました。ローマ時代の権力者が使ったX字型の脚を持つチェアを原型とし、近代的な空間に調和する現代の玉座として設計されました。このチェアは、クロームメッキのフレームに上質な革張りの座面や背もたれを配し、家具史にその名を残す不朽のフォルムとして評価されています。
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ル・コルビジェ
ル・コルビジェはモダニズム建築を提唱した巨匠で、彼のデザインは無駄な装飾を排除し、直線的でシンプルな美しさを特徴としています。
LC2
1928年にデザインされ、ル・コルビジェが設計した最も人気のあるソファの一つです。このソファは「最小の構成で最大の快適性」をコンセプトにデザインされ、スチールパイプに背もたれ、座面、アーム部分の3つの四角いクッションを組み合わせた構造が特徴です。直線的なデザインがこのソファの魅力であり、時代を超えて愛され続けている理由の一つとなっています。上質な座り心地は、ウレタンとフェザーを充填したクッション構造によって実現されています。また、このソファはニューヨーク近代美術館(MoMA)にも収蔵されている美術品であり、その存在感は間違いなくおしゃれな部屋を演出します。
シェーズロング
彼自身が休息のためにデザインしたとも言われている美しい曲線美が特徴的なソファです。黒くて大きい台座とスチール製のパイプフレームからなる本体は無段階に角度調整が可能で、快適な休息を提供します。牛革やポニースキンなどの素材で製造されており、「寝椅子」としての機能が強調されています。
アルネ・ヤコブセン
20世紀を代表するデンマークの建築家でありデザイナーです。彼はモダニズム建築の大きな影響を受け、その独特のデザインスタイルで世界的な名声を獲得しました。ヤコブセンの作品は、機能性と美学が融合したもので、シンプルで洗練された形状が特徴です。彼のデザインの多くは、現代でも引き続き高く評価され、家具デザインの分野では特に影響力があります。
セブンチェア
1955年にデザインされたセブンチェアは、ヤコブセンの最も有名な作品の一つです。このチェアは、シンプルながらもエレガントな曲線が特徴で、現代の家具デザインにおいて革新的な存在となりました。その流麗なラインは、いまでも多くの家具愛好家から愛され続けています。
アントチェア
アントチェアは1952年に登場し、ヤコブセンのデザインの中でも特にユニークな形状を持つチェアです。名前の由来は、アリのような形状からきています。軽量でスタッキング可能な点が特徴で、多目的に使用できる点が評価されています。
エッグチェア
エッグチェアは、1958年にヤコブセンがコペンハーゲンのロイヤルホテルのためにデザインしたものです。卵の形を模したこのチェアは、プライベートな空間を提供することを目的としており、独特の包み込むようなデザインが特徴です。快適性とプライバシーを兼ね備えたこのチェアは、現代でも多くのオフィスやリビングで愛用されています。
ドロップチェア
ドロップチェアもまた、ロイヤルホテルのためにデザインされた作品の一つです。1958年に発表されたこのチェアは、滴の形を模した個性的なデザインが魅力です。小さくてコンパクトながら、その存在感は非常に大きいです。デザインのシンプルさと機能性の高さが、多くの人々を魅了しています。
チャールズ&レイ・イームズ
20世紀を代表するアメリカのデザイナー夫妻で、現代家具デザインに大きな影響を与えただけでなく、ミッドセンチュリーモダンデザインの象徴としても知られています。彼らは革新的な材料の使用と機能的なデザインにより、現代家具デザインの基礎を築きました。彼らのデザインは、実用性と美学の完璧な融合を目指し、新しい製造技術と素材を積極的に取り入れました。代表作には、プライウッドやファイバーグラス、金属などの新素材を使用したチェアが多く、これらは今日でも非常に人気があります。
シェルチェア
シェルチェアは、イームズ夫妻がデザインした最も有名なチェアの一つです。1950年代にデザインされ、その革新的なフォルムと快適性で大きな注目を集めました。一枚のプラスチックシェルを用いたシンプルながらも洗練されたデザインは、現代の家具デザインにも大きな影響を与えています。
シェルチェアは、その耐久性と座り心地の良さから、オフィスやカフェ、住宅など様々な場所で愛用されています。また、脚部のデザインを変えることで、さまざまなスタイルに合わせることが可能です。
ワイヤーチェア
ワイヤーチェアは、イームズ夫妻による別の代表作で、1950年代にデザインされました。金属のワイヤーを巧みに組み合わせて作られており、軽やかで空間を圧迫しないデザインが特徴です。このチェアは、機能性と美しさを兼ね備えており、現代のインテリアデザインにおいても高く評価されています。
ワイヤーチェアは、その独特の形状と軽量さで、様々な空間にフィットします。ダイニングチェアやカフェの席、またはアートのようにインテリアに取り入れることもでき、多様な用途で活躍しています。
アルヴァ・アアルト
アルヴァ・アアルトは、フィンランドを代表する建築家兼デザイナーであり、20世紀を象徴するデザインの巨匠の一人です。彼のデザインは、機能性と自然の美しさを融合させたもので、特に家具デザインにおいて顕著です。
シェルチェア
シェルチェアは、その独特の曲線美が特徴です。このチェアは、木材を曲げる革新的な技術を用いて作られており、その流麗な形状が多くのデザイン愛好家を魅了しています。シェルチェアは、快適さと機能性を追求したアアルトのデザイン哲学を体現しており、現代でもその人気は衰えていません。
アルテックスツールE60
このスツールはシンプルながらも洗練されたデザインであり、積み重ね可能な機能も備えています。木製の脚部と丸い座面が特徴的で、どんなインテリアにも馴染むデザインです。アアルトは、このスツールを通じて、モダンなデザインと伝統的な職人技の融合を目指しました。
まとめ
デザイナーズチェアは、単なる座具以上の価値を持ち、そのデザインは芸術作品としても高く評価されています。本記事で紹介した名作たちは、時代を超えて愛され続けているだけでなく、今なお多くの空間を彩る存在です。あなたのライフスタイルや空間に合ったデザイナーズチェアを選び、日常に芸術的な美しさを取り入れてみてはいかがでしょうか。