店舗運営したり、企業を経営したりする方にとって、商業建築はただの「空間」以上の意味を持ちます。
では商業建築とは店舗や企業にとってどのような役割があり、どのような要素が求められるのでしょうか。本記事では、安藤忠雄、藤本壮介、藤森照信、小坂竜といった日本を代表する建築家たちの傑作を紹介し、それぞれの作品がどのように商業空間を彩っているのかを探求します。商業建築に求められているものは何か、建築の世界の奥深さと、その中での商業建築の役割を理解する旅に出ましょう。
そもそも商業建築とは
商業建築は、店舗やオフィスなどのように、一般住宅とは異なった建物のことです。営利目的の活動のために建築されているため、集客を目的とした建物として、専門的な店舗や施設としての設計をされています。実際に商業建築について求められる役割や要素について詳しく解説していきます。
概要
商業建築は、店舗、ホテル、オフィスビルなど、商業的な活動を目的とした建築物を指します。これらの建築物は、機能性や利便性はもちろんのこと、デザインや美学、ブランドイメージの表現など、多岐にわたる要素が求められます。さらに商業建築は、単なるビジネスの場としてだけでなく、文化の発信地とも言えますし、集客を考えると話題性も求められます。商業建築として建設するまでには外観から内装、機能性に至るまで、多くの要素を考慮して設計されなければなりません。
商業建築ならではの難しさ
商業建築の設計には、特有の難しさがあります。というのも、商業施設は特定のビジネスやサービスを提供することが大前提の上で、訪れる人々に「ここでしかできない」特別で快適な体験を顧客に提供することも求められて設計される必要があります。
また、商業建築を建設するまでには安全に利用するためにクリアしなければならない規定も数多く存在します。安全性と快適性を確保しつつ、ブランドイメージの実現することも重要で、この複雑なバランスを取ることが商業建築ならではの大きな挑戦です。
<商業施設におすすめのチェアはこちら>
泊まれる美術館も!?安藤忠雄設計のホテル5つ
安藤忠雄は、異色の経歴から独学で建築家となった日本を代表する建築家の一人です。打ち放しのコンクリートやガラスなどの無機質でクールな素材で仕上げた建築物、そしてそこに注ぎ込む自然光と影を組み合わせることで、幾何学的な造形でありながら自然と調和のとれたデザインが特徴的です。その代表作の中にはユニークな教会やホテルが多数存在します。
以下は、安藤忠雄が設計した5つのホテルです。
● 瀬戸内リトリート
瀬戸内リトリートは、安藤忠雄が設計した、自然と一体化したユニークなオールスイートのホテルです。建築と自然が見事に融合しており、その空間はまるで生きているかのように感じられます。客室からの眺望は絶景で、訪れる人々に特別な体験を提供します。
● ベネッセハウス
直島にあるベネッセハウスは、美術館とホテルが一体となった斬新なコンセプトの施設です。安藤忠雄のデザインが光るこの場所では、アートと自然の美しさが融合し、宿泊者には忘れられない体験が約束されます。
● グランドニッコー淡路
グランドニッコー淡路は、安藤忠雄の手によってデザインされた海に面したリゾートホテルです。このホテルは、自然の美しさを最大限に活かしたデザインが特徴で、落ち着いた雰囲気の中でリラックスできる空間を提供します。
● TOTOシーウィンド淡路
TOTOシーウィンド淡路は、安藤忠雄のデザインによるモダンなホテルです。海を望む絶好のロケーションに位置し、建築と景観が調和した美しいデザインが特徴です。このホテルは、日常を忘れさせるような非日常の空間を創出します。
現代日本の建築界をリードする藤本壮介の代表作
藤本壮介は、若手建築家の中でも注目され、その作品は現代の日本建築を代表するものとして評価されています。藤本壮介の建築は青空に映える真っ白な塗装と、ぱっと目を引くような斬新で洗練された形態など、一度見たら忘れられない独創さがあります。それでいて自然が建築の一部として組み込まれているデザインが特徴的です。以下は、藤本壮介の代表的な建築作品の一部です。
● 白井屋ホテル
白井屋ホテルは、京都にある藤本壮介の手がけた代表作の一つです。伝統と現代が融合したデザインは、京都の街並みに新たな息吹をもたらしています。このホテルでは、伝統的な日本の美しさと現代の快適性が見事に組み合わさっています。
● House of Music
House of Musicは、藤本壮介が設計したユニークなコンセプトの音楽施設です。この建築物は、音楽と建築の融合を体現しており、訪れる人々に音楽的な体験とともに、視覚的な驚きを提供します。
● UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店
UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店は、藤本壮介が設計したユニークなコンセプトのショッピング施設です。この施設は、都市と自然が融合したデザインで、訪れる人々に新たなショッピング体験を提供します。
● Omotesando Branches
Omotesando Branchesは、表参道に位置する藤本壮介の設計による商業施設です。この建物は、樹木をモチーフにしたデザインで、都市の中に自然の息吹を取り込んでいます。
<ホテルにおすすめのソファはこちら>
自然を操る藤森照信の建築作品
藤森照信は、独創的な空間演出と自然環境を建築に取り入れるユニークなデザインで知られています。その建築はまるで絵本のような独特な建築で、自然素材と人工物を一体化させており、自然と共存するような温かみを感じる建築が多いです。建築が単なる「空間を構成するもの」としてではなく、文化や歴史、人々の生活との結びつきがあることを示した物語性を感じる建築となっていることが、藤森照信建築の大きな特徴です。藤森照信の代表的な建築物の一部を紹介します。
● 浜松市秋野不矩美術館
浜松市秋野不矩美術館は、藤森照信の代表作の一つです。この美術館は、自然と調和するデザインが特徴で、建築物自体が一つのアート作品のようです。周囲の自然環境と見事に融合し、訪れる人々に静かな感動を与えます。
● 草屋根
草屋根は、藤森照信による自然と調和した住居の代表例です。この建築は、草で覆われた屋根が特徴で、自然の一部のように周囲の環境に溶け込んでいます。自然との一体感を重視したデザインが、静かな魅力を放ちます。
● ねむの木こども美術館どんぐり
ねむの木こども美術館どんぐりは、藤森照信が設計した子ども向けの美術館です。この美術館は、子どもたちが自然と触れ合いながら創造性を育むことができる空間として設計されています。
● ラムネ温泉館
ラムネ温泉館は、藤森照信が設計したユニークな温泉施設です。この施設は、自然の中に溶け込むようなデザインが特徴で、訪れる人々にリラックスと癒しを提供します。
インテリアデザイナーにとどまらない小坂竜の建築作品
小坂竜は、インテリアデザイナーとしても成功を収めていますが、国内外の話題のホテルやレストランなどの設計まで手掛けており、彼の建築作品も見逃せません。その建築は最先端の技術と洗練された美学を融合したデザインが特徴的です。新しい材料や技術を取り入れることで、従来では不可能だったデザインを実現し、生活に新しい価値観をもたらす小坂竜の建築には、現在のニーズだけでなくこれからの未来の生活を豊かにする期待が込められています。以下は、小坂竜の代表作の一部です。
● SUGALABO V ルイ・ヴィトン・メゾン
SUGALABO V ルイ・ヴィトン・メゾンは、小坂竜が手掛けたレストランです。このレストランは、モダンで洗練されたデザインが特徴で、食事をするだけでなく、空間自体を楽しむことができます。
● ザ・ホテル青龍 京都清水
ザ・ホテル青龍 京都清水は、小坂竜がデザインしたホテルです。このホテルは、伝統と現代が融合したデザインで、京都の街並みに新たな息吹をもたらしています。
● THE AOYAMA GRAND HOTEL
THE AOYAMA GRAND HOTELは、小坂竜が手掛けたモダンなホテルです。このホテルは、洗練されたデザインと快適性を兼ね備え、訪れる人々に上質な滞在体験を提供します。
● 眞松庵
眞松庵は、小坂竜が設計した伝統的な日本料理店です。この店は、伝統的な日本の美しさを現代に蘇らせたデザインが特徴で、日本料理の真髄を味わうことができます。
まとめ
本記事を通して、安藤忠雄、藤本壮介、藤森照信、小坂竜といった日本のレジェンドから現代の建築界をリードする建築家たちの商業建築における卓越した才能と多様性を見てきました。彼らの作品は、単なる商業空間を超え、文化と美の新たな地平を開いています。これらの建築物を訪れることで、私たちの日常に新たなインスピレーションと発見がもたらされることでしょう。
ビジネス空間としてだけではない店舗やオフィス作りのヒントとして活用ください。