突板(つきいた)とは、天然木と集成材のよい面をあわせもち、洗練されたデザイン性と低コストを実現できる素材です。
この記事では、突板にはどのようなメリットとデメリットがあるのか、扱い方や活用方法について解説します。無垢材家具と突板家具のどちらにするか迷っている方や、突板素材がなぜ安いのか気になる方は、ぜひ参考にしてください。
突板の基本知識
まず、突板はなにでできているのか、どんなメリットやデメリットがあるのか基本情報を見ていきましょう。
突板とは?
突板とは、天然の木材を薄くスライスしたものをベニヤ板や集成材に貼り付けて作る人口の木材です。一枚板のような美しいデザインとリーズナブルな価格が特徴で、主に家具や建築で用いられます。
突板の利点
家具やインテリア、建築に突板を用いることには以下のメリットがあります。
⚫️ 無垢材よりコストが低い
⚫️ 希少性の高い木材の木目を簡単に再現できる
⚫️ 軽量で扱いやすい
扱いの手軽さが突板の主なメリットです。低コストでデザイン性を求める人に突板はうってつけと言えるでしょう。
突板のデメリット
突板のデメリットは以下の通りです。
⚫️ 傷が目立つ
⚫️ メンテナンスしないと経年劣化で表面の木材が剥がれてくる
⚫️ 深い傷は修理が難しい
薄い板を貼り付けて作るだけあって、傷に対して総じて弱いのが主なデメリットです。
突板の種類と特徴
基本知識がわかったところで、ここではよく使われる突板の種類と特徴について解説します。
ウォールナット突板
ウォールナット突板とは、日本語でいう「クルミ科」の植物で作る突板です。家具や建築のほか、オーディオスピーカーや楽器の素材としても用いられます。適度な油分を含んでおり、独特の光沢とまっすぐで美しい木目、深い色合いが特徴です。
ウォールナットにも多くの種類がありますが、突板材料としての利用は「ブラックウォール」という東部アメリカ原産のものがほとんどを占めています。
オリーブ突板
オリーブ突板とは、オリーブの木を表面に施した突板です。明るい色合いと切り出し部位毎で異なる木目が特徴で、ダイニングテーブルや収納家具など幅広い家具で用いられます。
国内ではオリーブオイルのイメージが強いオリーブの木ですが、実は木材として用いられるオリーブの木はとても貴重です。枯れた木や事故で倒れたものしか木材として使用できないため、突板素材であっても非常に高価なケースも少なくありません。
オーク突板
オークはブナ科の広葉樹の1種で、日本では「ナラの木」とも呼ばれる木材です。明るい色合いとまっすぐな木目が魅力で、ドアやチェスト、ベッドフレームなど大型家具の素材に用いられます。
他の突板材料よりも比較的安価な特徴がありますが、用いられる樹木はホワイトオークと呼ばれる北米原産のものがほとんど。北海道で採れるミズナラの木もオーク材の1つですが、こちらは希少性が高いため非常に高価です。
ちなみに無垢材のオークは耐久性と耐水性、防虫効果があるため、ワインやウイスキーの熟成樽としても用いられます。
その他の突板種類
突板に用いられる木材は上記の3種類だけではありません。他にもアメリカンチェリー、イエローパイン、カリンなど使われる樹木は幅広く存在します。
ただし、近年は自然保護の観点から銘木と呼ばれる希少性の高い樹木は厳しい輸出制限を受けています。そのため色合いが個性的で人気の木材は、突板であっても入手が困難です。
突板の選び方と手入れ方法
ここでは、突板選びのポイントとメンテナンス方法、トラブルがあったときの対処法を解説します。
突板選びのポイント
突板を使った家具やインテリアを選ぶ際は、以下の点に注目してください。
⚫️ 木目の模様と内装がマッチするか
⚫️ 用途にあった素材が使われているか
例えばオーク材は防虫効果があるため、チェストやクローゼットに使われていれば天然の防虫効果が期待できます。オリーブ材は木の密度が高いため、他の素材より耐久性が高めです。
また、木目は切り取った部位によって模様が異なります。木の幹ならさっぱりとした印象のまっすぐな木目をしており、根本に近い部位は斑模様や波状で重厚な印象を与えます。
同じ樹木でも部位によって模様や色合いがガラリと変わるため、実物の木目を見て、内装にマッチするか吟味してください。
突板の手入れとメンテナンス
突板のお手入れは、仕上げの塗装が「オイル仕上げ」「ウレタン仕上げ」のどちらかによってメンテナンス内容が変わります。
オイル仕上げとは、木材の表面に専用のオイルを浸透させる方法です。塗膜を作らないため、木材本来の風合いを楽しめますが、傷やシミに強くありません。普段のメンテナンスは基本的に乾拭きで、定期的に家具用オイルを木に擦り込む必要があります。
ウレタン仕上げとは、木材の表面をウレタン樹脂でコーティングする方法です。塗膜を作るためオイル仕上げより傷や汚れに強いですが、高温に触れると塗膜が焦げてシミができます。軽い汚れまでなら基本水拭きで問題ありません。
突板の傷や剥がれの修理方法
軽い引っ掻き傷や凹み傷までなら、突板は自力で補修できます。必要な道具は濡らして固絞りした布と、市販の補修ペンの2点です。ペンの色は無色透明か、1番近いカラーを選びましょう。
方法は簡単、濡れ布巾で傷や凹み部分の細かな木クズを拭き取り、ペンで軽く塗るだけです。ただし、下の素材が剥き出しになるほどの大きな傷や損傷は自力で修復できません。
また、無垢材の場合は紙やすりで目立たなくできますが、突板で紙やすりは厳禁です。薄い木材が禿げて中身が露出するので、かえって状態を悪化させてしまいます。素材が薄い分、余計な手出しをしないよう注意してください。
突板を使ったインテリアアイデア
ここでは、突板と相性の良いインテリアアイデアをご紹介します。
突板を活かしたオフィス環境整備
オフィスといえば黒や白、灰色など無彩色がイメージカラーですが、近年は木製のおしゃれな家具をオフィスに取り入れる企業が増えてきました。そこで注目されているのが、安価でデザイン性の高い突板です。
木材の持つリラックス効果や突板のデザイン性を利用すれば、ストレスの緩和やモチベーションの向上など、さまざまな効果が期待できます。
突板を用いたデスクやテーブルのデザイン
一枚板のようなデザインが特徴の突板デスクやテーブルは、オフィスの印象を変える際にうってつけです。
例えば「白ベースの内装×明るい色合いでまっすぐな木目の突板テーブル」の組み合わせであれば、ナチュラルモダンでカジュアルなビジネス空間を演出できます。
また「黒ベースの内装×深い色合いで複雑な木目の突板テーブル」の組み合わせなら、重厚で大人なビジネス空間の印象を与えられます。重役の会議室や商談の場に重宝するでしょう。
単調になりがちなオフィス空間を変えるなら、突板のデスクやテーブルを使用することをおすすめします。
突板フローリングの活用
オフィスの床といえば無彩色の絨毯が代表的ですが、床材を突板に変えるだけでもオフィスの雰囲気は大きく変わります。休憩室や応接室など、ピンポイントで張り替えるのもおすすめです。
社内に暗い雰囲気の場所があるなら、思い切って突板フローリングを導入してみてはいかがでしょうか。
突板の魅力と種類を知ろう!ウォールナットからオークまでまとめ
突板は薄い天然木のシートを貼って作る木材で、低コストと高いデザイン性が魅力です。本来は高級品であるウォールナットやオリーブのデザインを手軽に実現できるため、オフィス家具や床材、楽器など幅広いシーンで活躍します。
無垢材よりも耐久性は高くありませんが、定期的な清掃とメンテナンスを怠らなければ、10年以上は使える優秀な素材です。高級木材の風合いを手軽に楽しめる突板をこの機会にぜひ導入してみてはいかがでしょうか。