近年、オフィス環境のレイアウトに木材家具を取り入れる企業が増えてきました。木材家具といっても価格やデザインは多種多様です。「せっかくなら予算に見合った高品質なものを選びたい」と考える方も多いかもしれません。
木材家具の価格を左右するのは木材の種類です。どのような木材で、どう加工されたものなのかによって価格は大きく異なります。この記事では、木材の1つである「無垢材」と「合板」の違いや見分け方、オフィス環境に適した素材の選び方について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
無垢材と合板の基本知識
家具や床材に使われる木材は、大きく分けると「無垢材」と「合板」の2種類に分かれます。まずは、この2つがどんな特徴を持つのか、基本知識を確認しておきましょう。
無垢材の特徴
無垢材(むくざい)とは、木材を切り出したそのままの形で加工して使う資材です。天然無垢なままの資材なので「無垢材」と呼ばれます。言い換えれば天然の木材そのものです。
無垢材には以下の特徴があります。
⚫️ 切り取った部位や樹木の種類によって硬度・模様・性質が異なる
⚫️ 重量がある
⚫️ 温度や湿度の影響を受ける
⚫️ 希少性の高い樹木は非常に高価
⚫️ 熱伝導率が低い
⚫️ メンテナンスが必要
大型の家具に無垢材が使われる場合、素材の加工に技術力が必要なので総じて高価格です。ただし、他の素材では実現できない独特の色合いや手触りがあります。
合板の特徴
合板(ごうはん)とは、原木の薄く切り取った板と他の素材を複数枚貼り合わせた資材です。無垢材との違いは人工的に作られた加工品である点。無垢材のように木材本来の形を必要としない分、低コストで製造できます。
フローリング素材の選び方
ここでは、フローリング素材の無垢材と合板にどのように選ぶべきか、それぞれのメリットデメリットに分けて解説します。
無垢フローリングのメリットとデメリット
無垢材を用いたフローリングのメリットは以下の通りです。
⚫️ 衝撃や傷に強い
⚫️ 木の質感を感じられる
これに対して、以下のようなデメリットも存在します。
⚫️ 水分や湿気に弱い
⚫️ 資材価格と施工コストが高い
⚫️ 完成に時間がかかる
合板の特徴は以下の通りです。
⚫️ 加工しやすい
⚫️ 熱・電気の伝導性が低い
⚫️ 温度や湿度によって形状が変化しにくい
⚫️ 価格が安い
合板にはいくつか種類がありますが、家具に用いられるのは「普通合板」や「天然化粧合板」と呼ばれるタイプです。天然化粧合板は「突板(つきいた)」とも呼ばれる素材で、中身は合板、表面は無垢材といった、無垢材と合板のいいとこ取りをしたような魅力があります。
また、中には木材以外の素材を組み合わせた「プリント化粧合板」という資材も存在します。
プリント化粧合板とは
プリント化粧合板とは、合板にウレタンコート紙や木質繊維板を重ね合わせて作る資材です。デザインとコストパフォーマンスに特化した強化型の合板といえるでしょう。
表面に強化紙を用いるので、デザイン自由度の高さが魅力です。また、表面保護の加工が施されているため、お手入れが簡単。ただし、表面が紙素材なので傷や摩擦に弱いデメリットがあります。
無垢材と合板の見分け方
本章では無垢材と合板の見分け方について解説します。
木目の規則性をチェック
酷似した木目が連続して見える場合、表面にプリントした強化紙を貼っているプリント化粧合板の可能性が高いです。
一方で木目に加工品のような規則性がなく、天然木らしいナチュラルな模様が見えるなら、無垢材と判断できます。ただし、無垢材を薄く切り取って貼り付ける突板は見た目が無垢材と遜色ありません。
突板と無垢材を見極めるポイントは重量です。無垢材は樹木をそのまま切り出しているため、他の木材より重量があります。突板と無垢材の判断がつかない場合は、資材や家具の重量を調べてください。
木口を観察する
木材の表面で分からない場合は「木口」と呼ばれる横断面を見て判断できます。
無垢材は木をそのままの形で用いるため、木口面にも年輪の模様が見られます。一方合板の木口は塗装処理が施されていない部分はベニヤ板の層が剥き出しです。この点は突板であっても同様なので、判断が難しい場合は木口を確認してください。
価格差を比較
実物を直接見られない場合、例えばオンラインショップで家具を購入するときは価格で判断できます。
無垢材は素材の加工に技術力がいり、素材自体が少ないため、総じて高コストです。特にオーク材やオリーブ材など希少性の高い樹木は価格が跳ね上がります。
一方、合板は製造が簡単かつ低コストで大量生産できるため、低価格で入手することが可能です。一般的な家具はほとんどが合板で、高級家具と呼ばれる類は主に無垢材が使われます。
無垢材は、歩き心地と質感が最大の魅力です。一方で使用する樹木によって価格が大きく変動するのが主なデメリット。例えば、無垢のウォールナット材をフローリングに用いると、相当な金額がかかります。
合板フローリングのメリットとデメリット
合板を用いたフローリングには「突板・挽板(ひきいた)・プリント化粧」の3種類があり、それぞれ質感やメリットデメリットが異なります。ちなみに、挽板とは、突板よりも厚く切り取った無垢材を単材と組み合わせた合板です。
各タイプのメリットとデメリットを以下の表にまとめました。
タイプ | メリット | デメリット |
突板 | ・見た目は無垢材と遜色ない ・湿度や水分に強い ・価格が安い | ・傷や凹みに弱い ・木の質感は感じにくい |
挽板 | ・見た目は無垢材と遜色ない ・無垢材の質感を感じられる | ・合板の中では高コスト |
プリント化粧 | ・デザインのバリエーションが豊富 ・価格が安い | ・傷や凹みに弱い ・木の質感は感じられない |
フローリングおすすめ木材
フローリングに木材を使用する場合、なにを重視するかで選ぶべき素材は違います。例えばコスト度外視で木の質感や香りを重視するなら、無垢材が適しているでしょう。ただし、貴重な樹木は資材の流通量が少ないため、施工が大規模だと資材が足りない可能性があります。
一方、予算が少ない、または施工規模が大きい場合は、低コストで大量生産できる合板に分があります。用途によって素材は使い分けてください。
オフィス環境に適した素材の選び方
ホーム家具と違い、オフィスに使う家具は少々異なった選び方をしなければなりません。本章ではオフィス環境に適した木材の選び方を解説します。
耐久性とメンテナンス
木製の家具や床材をオフィスに取り入れる場合、自宅に比べて数が規模は大きくなります。そのため、オフィス用家具の選択では長く使える耐久性の高いものや、メンテナンスが手軽なものをチョイスしてください。
耐久性を重視するなら無垢材、メンテナンスの手軽さを優先するなら合板がおすすめです。
デザインと機能性
デザインや機能性をどこまで追求するのかによって素材の選択肢は変わります。例えば、デザインだけを重視するならわざわざ高価な無垢材でなくても、見た目がほとんど同じで低コストの突板合板で十分です。
ただし、木の香りでリラックス効果を狙う場合や調湿機能など、機能性も求める場合は無垢材が適しています。
予算とコストパフォーマンス
コストパフォーマンス面で選ぶなら、合板一択です。無垢材は製造コストが高いため、安めの素材でもそれなりの金額がかかります。
しかし、会議室や応接室など大切なビジネスシーンに使う場所に限れば、無垢材使用の家具やフローリングで豪華に飾るのも1つの手段です。
無垢材と合板の見分け方:オフィス環境に適した素材を選ぼうまとめ
無垢材と合板どちらかで迷ったときの選択ポイントは以下の6つです。
- 傷・衝撃に強く樹木本来の風合いや香りを楽しむなら無垢材
- 低予算でコストパフォーマンスの高い資材が欲しいなら合板
- 耐久性なら無垢材・お手入れの簡単さなら合板
- デザインと機能性の両方を求めるなら無垢材、デザイン性のみ求めるなら合板
- 予算が限られているなら、オフィスの重要な場所だけ無垢材にするのも一つの方法
- コストパフォーマンス重視なら合板一択
無骨な雰囲気になりやすいオフィス環境を改善するなら、ウッドテイストのインテリアやオフィス家具を取り入れるのがおすすめです。木材の香りによるリラックス効果や目に優しい色合いは、従業員のストレス緩和やモチベーション向上に期待が持てるでしょう。オフィス環境の改善に向けて、この機会にぜひオフィスに木材家具を導入してみてはいかがでしょうか。