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飲食店において、テーブルは単なる食器置き場ではありません。顧客の滞在時間や客単価、さらには店舗全体の印象を左右する要素として機能します。高さが合わなければ食事がしにくく、素材の選定を誤れば頻繁な修理が必要になり、配置を間違えればスタッフの動線が妨げられます。本記事では、天板素材から脚の形状、サイズ設定まで、飲食店テーブルの選定に必要な知識を解説します。
飲食店テーブルの基礎知識:役割と選定の視点
飲食店のテーブルは料理を提供する場であると同時に、店舗の雰囲気を形づくる内装要素でもあります。素材や形状によって顧客の印象が変わり、サイズや配置によって収容人数や回転率が決まります。
テーブルの役割:演出性と実用性の両立
飲食店のテーブルには、空間の雰囲気を演出する役割と、日常業務を支える実用性の両方が求められます。木目調の天板はカフェのような温かみを生み出し、大理石調の天板はバーに高級感をもたらします。同時に、料理や食器、調味料、メニュー表を置けるだけの広さと、長時間の使用に耐える強度も必要です。見た目の魅力だけで選ぶと業務に支障が出る可能性があります。
飲食店用テーブルと家庭用テーブルの違い
業務用テーブルは家庭用に比べて耐久性が高く設計されています。不特定多数の顧客が毎日使用するため、傷や汚れに強い素材が採用され、頻繁な清掃にも耐える表面処理が施されます。また、飲食店用のテーブルは天板と脚を別々に選べる仕様が一般的で、店舗の間取りやコンセプトに合わせた組み合わせが可能です。家庭用のようにセット販売が少なく、サイズや高さの調整も柔軟に行えます。
テーブルを選ぶ際に考えるべき視点(来客体験・回転率・メンテナンス)
テーブル選定では、顧客の快適性と店舗運営の効率性のバランスを取る必要があります。座面とテーブル天板の高さが適切でないと食事がしにくく、顧客満足度が下がります。一方、テーブルサイズが大きすぎると席数が減り、回転率の低下を招きます。さらに、清掃やメンテナンスのしやすさも考慮すべき要素です。水拭きに弱い素材や傷が目立ちやすい仕上げは、業務の手間を増やします。
テーブルを構成する要素(天板・脚・サイズ・仕上げ)
飲食店テーブルは天板、脚、サイズ、仕上げという四つの要素で構成されます。天板は素材や厚み、形状によって見た目と耐久性が変わり、脚の形状は安定性や足元の快適さに影響します。サイズは提供する料理の量や想定する顧客数に応じて決定し、仕上げの方法によって表面の手触りや汚れへの強さが変化します。それぞれの要素を相互の関係性を理解したうえで判断します。
天板素材と仕上げ:耐久性と見た目を両立させる選択

天板は顧客が直接触れる部分であり、店舗の印象を決定づけます。素材の選択によって耐久性や手入れのしやすさが大きく変わるため、業態に応じた判断が求められます。
メラミン化粧板/突板/集成材などの比較と使いどころ
メラミン化粧板は樹脂を含ませた紙を何層も貼り合わせた素材で、耐久性と耐熱性に優れています。色柄のバリエーションが豊富で、木目調から石目調まで幅広いデザインを再現できるため、回転率の高い飲食店や清掃頻度が高い店舗に適しています。突板は天然木を薄くスライスして合板に貼り付けたもので、天然木の質感を安価に楽しめるため、高級感を演出したいレストランやバーに向いていますが、傷がつきやすい欠点があります。集成材は小さな木材を圧着させた素材で、長さや厚みを自由に加工できるため、大型テーブルやカウンターなど特注サイズが必要な場合に適しています。
人工大理石など石調素材の特徴と注意点
人工大理石はアクリル樹脂やポリエステル樹脂を主成分とした素材で、天然大理石の代替品として使用されます。本物の大理石に比べて割れにくく、加工性に優れています。吸水性が低く汚れが染み込みにくい点も魅力ですが、天然石特有の風合いには劣ります。表面は比較的硬いものの、底面がザラザラした食器を引きずると細かい傷がつく場合があるため、取り扱いには注意が必要です。
縁材・エッジ処理の違いと耐久性への影響
天板の縁部分の処理方法は、見た目だけでなく耐久性にも影響します。木縁仕上げはメラミン化粧板や突板の縁に木材を取り付ける方法で、面材の形状によって異なる表情を生み出します。木縁の塗装色は化粧板に近い色が選ばれますが、別色の指定も可能です。縁材の接合が甘いと、水分が侵入して天板が傷む原因になります。角ベースや十字脚など脚の形状に合わせて天板の形を選ぶ際、縁の処理方法も同時に検討します。
仕上げ(塗装・コーティング・ラミネート)で変わる手触りとメンテ性
天板の仕上げ方法によって、表面の手触りや耐久性、清掃のしやすさが変化します。ウレタン塗装を施した天板は水に強く、飲み物をこぼしても染み込みにくいため、ダイニングテーブルとして安心して使用できます。メラミンラミネートは表面強度が高く、耐摩耗性や耐水性、耐熱性に優れており、業務用として高性能な選択肢です。無塗装や薄いコーティングのみの天板は、天然木の質感を楽しめます。
脚・構造・支持方式の違いと選び方
テーブルの脚は安定性や座りやすさに直結する要素です。形状や素材によって、見た目の印象や清掃のしやすさも変わります。店舗の業態や使用頻度に応じて、最適な脚の形式を選定する必要があります。
ベース脚(角ベース、丸ベース)・十字脚など脚形状の特性
角ベース脚は四角形の天板と相性が良く、安定性に優れているため飲食店で広く使われています。脚が邪魔になりにくく、自重もあるため、しっかりとした座り心地を提供します。丸ベース脚は円形や楕円形の天板に適しており、比較的動かしやすいためテーブル移動が頻繁な店舗に向いています。十字脚は床との接地面積が小さく、掃除がしやすい利点があります。ベースが十字形のため、丸形や正方形の天板と組み合わせます。
対立脚・独立脚・4本脚など支持方式とその利点・欠点
対立脚は天板の左右に脚がついているタイプで、座るときにポールが邪魔になりません。天板と脚が一体化しているため安定感があり、4~6人で使う長方形の天板に組み合わせられます。独立脚は1本ずつ独立しており、天板の角に取り付けて使用します。4本脚はテーブルの四隅で支えるため安定性が高く、大きな天板に適しています。ただし、梱包が大きくなり物流コストが高くなる傾向があります。
脚の素材・仕上げ(スチール・アルミ・木材等)と質感・耐久性
スチール製の脚は頑丈で重いものを載せてもたわみにくく、高い耐荷重性を持ちます。塗装やメッキなどの表面処理が適切であれば、水や湿気にも強く屋外での使用にも対応できます。アルミ製の脚は軽量で錆びにくく、移動が頻繁な店舗に適していますが、スチールに比べると強度は劣ります。木製の脚は温かみがあり、和風の店舗や北欧風のカフェに適しています。ビーチ材は時間とともに強度が増し、オーク材は頑丈で耐水性も高いため、業務用として長期間の使用に耐えます。
脚位置・配置が座りやすさ・足元スペースに与える影響
四隅に脚がある4本脚タイプは安定性が高い反面、座る位置によっては脚が邪魔になります。ベース脚や十字脚はテーブルの中心部に支柱があるため、足元のスペースを広く確保でき、どの位置に座っても快適です。対立脚は左右のみに脚があるため、間口方向には足元が広く取れます。大人数での使用を想定する場合、足元の自由度が高い脚形状を選びます。
テーブルサイズ・高さ・間隔の目安と配置設計

テーブルのサイズや高さ、配置は店舗の収容人数と顧客の快適性を左右します。適切な寸法を把握し、動線を考慮した配置設計を行えば、限られた空間を最大限に活用できます。
2人席・4人席などで使われる代表サイズの目安
2人掛け用のテーブルは幅60cm×奥行75cmが一般的ですが、スペースに余裕があれば幅70cm×奥行80cmとすると、よりゆったりと食事を楽しめます。4人掛け用は幅120cm×奥行75cmが標準で、ゆったりとした雰囲気を演出したい場合は幅130~150cm×奥行80~90cmが適しています。1人分に必要なスペースは幅60cm×奥行40cmが目安です。
テーブル高さと椅子高さのバランス(座面とのクリアランス)
椅子の座面からテーブルの天板までの距離が25~30cm程度であれば、多くの人にとって快適です。一般的なレストランではテーブルの高さが70cm前後、椅子の座面高が40cm前後に設定されます。どんぶりをよく使用するラーメン店や、テーブルに高い機器を乗せる焼肉店では、椅子の高さを3cm程上げると食事がしやすくなります。
通路幅・人の動線を踏まえたテーブル間隔設計
テーブルの配置では、顧客とスタッフの動線を確保する必要があります。人が1人移動するための通路幅は最低65~70cm程度、顧客同士がストレスなくすれ違うには110~120cm程度が必要です。メインの通路は車椅子の通行も想定して120~150cm程度を確保します。テーブルや椅子のサイズ、通路の幅を考慮しないと、移動時に不便を感じる空間になり、顧客が離れていく原因になります。
可変性を持たせるレイアウト手法(可動式・拡張型など)
可動式のテーブルを配置すれば、顧客の人数によって柔軟に席数を調整できます。使用されない椅子を他のテーブルへ移したり、テーブル同士を繋げたりして、グループ客にも対応できます。伸長式のテーブルは、使用人数やシーンに合わせて自由にアレンジでき、大人数での使用にも対応します。テーブルの高さを統一しておけば、宴会など大人数での来店時にも容易に席を組み替えられます。
用途別テーブルスタイルとシーン別使い分け
飲食店の業態や提供するサービスによって、適したテーブルのスタイルは異なります。ソファ席やカウンター席、シェアテーブルなど、用途に応じた選択が店舗の魅力を高めます。
ソファ席用テーブル・ラウンジ風スタイルのポイント
料理を提供する飲食店の場合、テーブルの高さは60cm前後、床からソファの座面までが35cm前後とし、座面からテーブル天板までを20~25cm程度に設定します。飲み物主体の店舗では、テーブルの高さを35cm前後に下げ、リラックスして過ごせる空間を演出します。ソファの座面が沈み込むタイプか硬い反発性の高いタイプかによっても、適切なテーブル高は変わります。
カウンターテーブル(ローカウンター・ミドル・ハイ) の選び方と使い方
カウンター席は飲食店の業態によって高さを変える必要があります。一般的なカウンターは高さ70cm前後で、椅子の座面からカウンター天板までを25~30cm程度とします。お寿司屋や割烹料理屋などで使用されるローカウンターは長時間の滞在に適しており、ミドルカウンターは洋食店やバルに多く見られます。ハイカウンターは高さ90~100cm程度で、バーなどで採用されます。店舗のコンセプトに合った高さを導入します。
長テーブル・シェアテーブル・コミュナルテーブルの活用例
長テーブルは大勢で相席できるため、カフェのカウンターやフードコートなどで活躍します。杉古材をリサイクルした大型テーブルは、サステナブルな印象を与えながら、複数のグループが同時に利用できるスペースを生み出します。箱脚タイプであれば奥行き方向にも着席可能で、席数を効率的に確保できます。シェアテーブルは顧客同士の交流を促し店舗に活気をもたらしますが、プライバシーを重視する顧客層には向きません。
角テーブル・丸テーブル・変形天板の効果的な使い方
角テーブルはスペース効率が良く、壁際や窓際に配置しやすいため、多くの飲食店で採用されています。大人数での利用にも対応しやすく、レイアウトの自由度が高い点が魅力です。丸テーブルは角がなく柔らかい印象を与え、視線が中心に集まりやすいため会話がしやすくなります。小さな子どもが利用する場合、安全性の面でも優れています。楕円形などの変形天板は、角テーブルと丸テーブルの中間的な特性を持ち、壁際に配置しながらも柔らかい印象を演出できます。特殊な店舗形状や柱がある場合にも、変形天板を活用すればデッドスペースを減らし、効率的な席配置が可能になります。
導入時の注意点・メンテナンスについて
テーブルを導入した後も、適切なメンテナンスを行わなければ長期間の使用は難しくなります。素材ごとの特性を理解し、定期的な点検と手入れを行う体制を整える必要があります。
天板の反り・割れ・キズへの対策と保証条件
木材を使用した天板は、湿気や温度変化の影響で反りや割れが生じる場合があります。特に無垢材は自然素材であるがゆえに、適切な乾燥処理やコーティングが施されていないと、ひび割れてしまいます。メラミン化粧板や人工大理石は比較的安定していますが、極端な温度変化や強い衝撃には注意が必要です。導入時には保証条件を確認し、どのような状態が保証対象になるのかを把握しておきます。
脚のぐらつき・防錆・メンテナンス頻度
脚のぐらつきは顧客にストレスを与え、安全性にも関わります。定期的にネジの緩みを確認し、必要に応じて締め直す作業が求められます。スチール製の脚は塗装やコーティングが剥がれると、水分が侵入して錆が発生する可能性があります。多くの業務用テーブルには錆び止め加工が施されていますが、使用環境や経年劣化によっては錆びるリスクがあるため、定期的な点検と補修が必要です。
導入後の見直し・改善をする観点
テーブルを導入した後も、実際の運営状況を踏まえて定期的な見直しが必要です。回転率が低い場合、テーブルサイズが大きすぎる可能性があります。逆に顧客から「テーブルが小さい」という声が多ければ、サイズアップや配置の変更を検討します。スタッフの動線に問題がある場合、テーブルの配置を見直し、通路幅を確保します。顧客アンケートやスタッフの意見を収集し、改善点を洗い出す仕組みを持てば、継続的に快適な空間を維持できます。
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まとめ
飲食店テーブルの選定は、店舗の印象と運営効率の両方に影響を与えます。天板の素材や脚の形状、サイズや高さといった要素を総合的に判断し、顧客の快適性とスタッフの動線、メンテナンスのしやすさを考慮する必要があります。業態やコンセプトに合わせて適切なテーブルを選び、定期的な見直しを行えば、長く愛される店舗づくりが実現します。


