業務用家具として椅子を導入しようと考えたとき、どのように選べばいいか迷ってしまうこともあるでしょう。デザインやコストはもちろん大切な要素ですが、もうひとつ重要なのがサイズです。しかし、椅子のサイズ表記は独特なので、正しく理解しなければ想像と違う椅子を購入してしまうことになりかねません。
この記事は、椅子選びの際に重要なサイズ表記の見方を解説します。ちょうどいいサイズの椅子の選び方もご紹介しますので、業務用家具選びの参考にしてください。

椅子の高さ表記は3種類ある

メジャー

一口に椅子の高さといっても、表記は3種類あります。それぞれの表記について、詳しく見ていきましょう。

全体の高さ【Height】

椅子全体の高さは、「Height」で表されます。頭文字だけを取って「H」と表記されることも珍しくありません。シンプルに「高さ」と表記されていたら、椅子全体の高さを表します。
全体の高さは、椅子の最も低いところから最も高いところを測定します。例えば「H:810mm」と記載されている椅子では、脚の先端から背もたれの先端までを垂直に測った高さが810mmです。

座面までの高さ【Seat Height】

座面までの高さは、「Seat Height」で表されます。頭文字だけで表記される場合は、「SH」で、「座高」表記のことも多いです。
床から座面までの高さを測ることで、SHが求められます。例えば「SH:460mm」と書かれている椅子であれば、床から座る部分までを垂直に測った高さが460mmです。

肘掛けまでの高さ【Arm Height】

肘掛けまでの高さは、「Arm Height」で表されます。頭文字だけで簡略表記される場合は「AH」で、「アーム高」と書かれることも少なくありません。
床から肘掛けの上までを測ることで、AHを測定できます。例えば「AH:620mm」と書かれた椅子なら、床から肘掛けの最も上までを垂直に測った高さが620mmであるとわかります。

椅子選びには奥行きも大切

椅子は高さだけでなく、奥行きも大切です。椅子選びの際には、高さと合わせて以下の2種類の奥行きもチェックしてください。

座面の奥行き【Seat Depth】

座面の奥行きは、「Seat Depth」で表されます。頭文字だけで書かれる場合は「SD」、日本語では「座面奥行き」と表記されることが多いです。
座面奥行きが長い椅子であれば、背もたれと体の間にクッションを用いたほうが良いこともあります。

椅子全体の奥行き【Depth】

椅子全体の奥行きは、「Depth」で表されます。シンプルに「D」または「奥行き」と書かれているときは、椅子全体の奥行きのことです。
正面から椅子を見たとき、前から後ろまでの距離のことを奥行きといいます。例えば「D:540mm」と表記された椅子であれば、椅子全体の前から後ろまでを平行に測った長さが540mmです。

椅子のちょうどいいサイズは?

座り心地のいい椅子を導入するためには、椅子のちょうどいいサイズを知る必要があります。ちょうどいい椅子の目安について、見ていきましょう。

椅子の高さと身長

ちょうどいいサイズの椅子を購入したいなら、座面の高さであるSHに注目してください。
椅子は、座ったときに足裏全体が床につく座高が理想とされています。足が地面につかない、踵が浮いてしまうなどの場合は椅子が高すぎるので快適な姿勢を維持できません。一方、足を必要以上に曲げて膝を高くしないと座れない場合は、椅子が低すぎて体に負担をかけてしまいます。
一般的に理想の座高は、3つの計算方法で求められます。まず、「身長の4分の1の値を求める」方法です。例えば、身長170cmの場合、理想の座高は42.5cmとなります。次に、「膝の高さから1センチ引く」方法です。例えば、膝の高さが45cmであれば、理想の座高は44cmとなります。そして最後が、「身長×0.25-1で求める」方法。例えば、身長170cmの場合、理想の座高は41.5cmとなります。
一般的に理想とされているのは、座面までの高さが男性は41〜45cm、女性は38〜41cmです。

座面の奥行きと安定性

ちょうどいいサイズの椅子を選ぶためには、高さだけでなく座面の奥行きもチェックする必要があります。座高がちょうど良くても、座面の奥行きが深かったり浅かったりすれば座り心地は悪くなるため注意してください。
日本人の平均では、座高と奥行きの合計が90〜100cmほどであれば理想値とされています。快適性を重視するためにも、椅子の高さとともに奥行きを確認しましょう。

サイズの合う椅子選び時の注意点

サイズの合う椅子を選ぶためには、いくつか注意しておきたいポイントがあります。適切な業務用家具を選ぶためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。

既存商品は男性の体型に合わせていることが多い

既存商品は男性の体型に合わせて作られていることが多いため、女性が座る椅子を購入しようと考えている場合は注意が必要です。
先述のとおり椅子のちょうどいいサイズは身長から算出されるので、身長が高い男性に合わせて作られた椅子に女性が座ると高さが合わないことがあります。業務用椅子として導入する場合は長時間座るケースも考えられるので、座る方のことを考えてサイズを選ばなければなりません。
男性も女性も使う椅子を導入したいのであれば、高さが調整できる商品がおすすめです。高さ調整ができる椅子であれば、身長が異なる多くの方が快適に座れます。

正しい姿勢が維持できるものを選ぶ

サイズの合う椅子を探しているのであれば、正しい姿勢が維持できるものを選びましょう。
座っているときの正しい姿勢とは、立っているときと同じ上半身の姿勢をキープできている状態です。重心が前後どちらかに偏っておらず、頭・肩・股関節が一直線になっている状態が立っているときの正しい姿勢なので、座っているときもその姿勢が保てる椅子を選ぶと良いでしょう。
肘掛けがある椅子の場合は、自然に腕を下ろした高さに肘掛けがある状態なら正しい姿勢をキープできます。肘掛けに腕を置くことで通常の椅子よりも体の負担が軽減されるため、座り心地のいい椅子を選びたいのであれば肘掛けのある椅子も検討してみてください。

サイズが合わない椅子を使い続けることで起こる問題

頭を抱える男性

サイズが合わない椅子を使い続けると、以下のような問題が起こります。椅子を使う方のことを考え、健康上の問題が起こらないような椅子選びを心がけることが大切です。

肩こり

サイズが合わない椅子を使い続けることで、肩こりがひどくなってしまうことがあります。
高さが合わない椅子を使うと、正しい姿勢を保てなくなって体に疲労が溜まりやすくなってしまいます。背筋を伸ばせずつい猫背になったり背中を反りすぎたりして肩や首などに疲労が溜まると、周辺の筋肉が凝り固まって痛みが発生。肩や首の痛みだけでなく、頭痛をはじめとする他の症状につながる可能性もあります。
背中を支えられる椅子を選べば、姿勢改善が促されて肩こりの悪化を防止できるでしょう。

頭痛

サイズが合わない椅子を使い続けると、頭痛が起こるおそれがあります。
高さが適切でない椅子を使って肩こりが発生し、頭から肩の筋肉が緊張すると緊張型頭痛が起こりやすくなります。良くない姿勢を取り続けることでストレスが溜まって片頭痛を起こしてしまったり、同じ姿勢を取り続けることで眼精疲労による頭痛が起きたりするかもしれません。
適宜姿勢を変えて、頭を休ませられるような椅子を導入するのもおすすめです。

血行不良

椅子のサイズが合わないと、血行不良を招きやすくなります。
血行不良は肩こりや頭痛につながるだけでなく、さまざまな問題を引き起こします。例えば椅子の高さが高過ぎて足が床に着かない状態のまま座り続けると、下半身の血行不良が発生。足のむくみや足先の冷えにつながり、健康状態を悪化させてしまうこともあるでしょう。
椅子に長時間座って同じ姿勢を取り続けると血行不良が起こりやすくなるので、足がきちんと床に着くような高さの椅子を選んで血行不良を悪化させないようにする必要があります。

椅子選びに重要なサイズ表記の見方について解説まとめ

椅子は全体の高さだけでなく、座面までの高さや肘掛けの高さなどが細かく表記されているので、購入前に確認して適切なサイズのものを選ぶことが大切です。ちょうどいい椅子のサイズは身長や膝の高さによって変わるため、座る方のことを考えた上で椅子を導入し、快適に座ってもらうことをおすすめします。

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