椅子の種類にはサイズやデザイン、機能性など、求めているものを選ぶのは一苦労です。座る人の身体に合わせたものを選ぶ際には、最初に椅子のサイズを見る人が多いかもしれません。しかし、椅子選びにおいて、座面の高さは決して軽視してはいけないポイントです。本記事では、一般的な椅子のサイズや、椅子選びで注意すべき注意点について解説します。

一般的な椅子のサイズについて

椅子に座る際の腰を下ろす部分を座面と呼び、椅子の座面と床までの高さを座面高と呼びます。一般的な椅子の座面高は約40~45cm程度とされ、既製品の多くがこのサイズに準拠しています。
ベストな椅子選びには、座面の高さを意識することや、椅子全体のサイズなどチェックするべき箇所が少なくありません。椅子選びで意識するべきことや、抑えておきたいポイントを解説します。

高さ【Height・Seat Height・Arm Height】

椅子全体の高さを表す表記がH(ハイ)です。Hは椅子脚の接地部分から背もたれの先端までの距離を表します。実際に座ることを想定した場合、最も重要視されるのは座面の高さを表すSH(シートハイ)です。椅子は自分が座ってみて、高いと感じたり低いと感じたりすれば自分のサイズに合っていないことになります。快適に座るためにも、SHは椅子選びの際に非常に重要な要素です。
床から椅子の肘掛けまでの距離をあらわすのが、AH(アームハイ)です。AHの寸法を知ることで、椅子を机の下に収納する際の目安になります。机の高さよりAHが高い場合、その椅子は机の下には収まらないという机との関係性を表しているのです。

奥行き【Depth・Seat Depth】

椅子全体の奥行を表す表記がD(デプス)で、座面と背もたれを合わせた距離を表す目安です。そして、座面の奥行のみを表すのがSD(シートデプス)で、正しい姿勢で座るうえで大切な目安となります。椅子は奥行きが大きすぎても小さすぎても、姿勢を崩して健康に影響を及ぼすリスクがあります。姿勢が悪いと肩こりや猫背などの原因となり、身体の不調を招くことになりかねません。
椅子の奥行は、正しい姿勢で座るための重要な目安になるのです。

幅【Wide】

椅子全体の幅をあらわす表記がW(ワイド)で、ワイド幅と呼ばれる場合があります。一般的な椅子はWに対して座面幅も同じようにサイズを取るため、座面の広さを測る目安にもなるでしょう。
また、椅子の幅を知っておくことで、設置するスペースや机の下に収納する際にイメージしやすい要素です。

身長からベストな椅子の座面の高さを求める

一般的な椅子のサイズは座面高が約42cm前後のものが多く、これは身長×1/4という人間工学の観点から設計されていることが理由です。例えば、身長170cmの人の適切な椅子のサイズは、170×0.25で42.5cmということになります。
適切な座面の高さは、座る人の身長によって異なるため、決して同じになるということはありません。身体に合ったベストな高さの椅子を選ぶうえで、適切な座面の高さを求める計算式を覚えておくことは大切です。

椅子選びの注意点

椅子選びには、抑えておきたいポイントがいくつかあります。快適な椅子選びで、覚えておきたい注意点を解説します。

椅子選びの注意点:既製品は男性サイズ

パソコンで作業をする男性

市販されている多くの既製品は、座面高約42cmの男性サイズが基準となっています。42cmとは、座面の高さを求める計算式でいえば身長約170cm程度です。これは成人男性の平均身長に相当し、対して成人女性が約158cmなので、適切な座面高が39.5cmと約3cmの開きがあります。女性に合う椅子を選ぶ際、既製品は男性サイズが基準となるものが多い点に注意してください。

椅子選びの注意点:座面の素材と高さ

椅子選びの際は、座面に使用されている素材と高さにこだわることをおすすめします。座面の素材は座り心地に直結し、快適に座るためには重要視したいポイントです。素材は座り心地だけでなく、感触や見た目、耐久性などを考慮しましょう。また、素材ごとに使用する際のメリットとデメリットがあるので、使用頻度や用途に合わせて選ぶのが大切です。
座り心地を考えるのであれば、座面の高さは忘れてはいけない要素です。座面の高さは、座面奥に座った状態で、足裏全体が地面にしっかりと着くことが理想的とされています。
椅子選びは、座る人の身長に合わせて座面の高さを配慮し、身体にフィットした心地よい椅子選びを心がけてください。

椅子選びの注意点:座面のサイズと安定性

座り心地のよい椅子選びでは、座面の高さのほかに、座面全体のサイズと安定性も重要なポイント。座面のサイズは、腰をしっかりと落ち着け、窮屈感がなくゆったりとくつろげる十分な広さがベストです。身体にフィットした十分な座面サイズでなければ、座ったときの違和感や負担が増えます。
安定性があってしっかりと座れる椅子でないと、座っていて疲れやすくなり、背や腰、肩の痛みを招きかねません。長時間椅子に座ることを想定しているなら、適切な座面サイズと安定性の高い椅子を選びましょう。

椅子をオーダーメイドするメリット

椅子を持つ家具職人

既製品ではなかなか理想の椅子が見つからないという場合には、椅子のオーダーメイドを検討してみることをおすすめします。椅子をオーダーメイドすることのメリットを見ていきましょう。

長時間座っても疲れにくい

オーダーメイドは、自分の好きなようにデザインできるため、人間工学に基づいたアレンジが可能です。さまざまな姿勢に対応し、身体への負担を分散してくれる椅子に設計することもできます。椅子に座って疲れやすいという人は、肩や腰、背骨への負担が大きいのが原因です。背もたれを緩やかなカーブ状にデザインしたり、身体全体を支えて柔らかい素材で包んだりすることも可能です。身体への負担を緩和し、長時間座っても疲れにくい椅子を実現します。

空間の有効活用ができる

オーダーメイドはデザインが自由自在なので、設置スペースに無駄のない椅子に設計することができます。椅子のサイズや高さまで設置スペースに合わせて設計すれば、デッドスペースを作らず空間を余すことなく活用することが可能です。
どんなに快適な椅子でも、サイズ感が普段過ごす空間に合っていなければ、美観や雰囲気を損なう要因になりかねません。オーダーメイドなら、毎日を過ごす場所をすっきりと保ち、空間の有効活用ができます。

体型に合わせたサポートが得られる

オーダーメイドは、身体にフィットした椅子に設計できるので、体型に合わせたサポートを得られます。椅子の用途は仕事や勉強、休憩用などシーンによって異なります。オーダーメイドなら、座る人の体型に合わせ、サイズや座面高、幅までを正確に設計して全面的にサポート可能です。
なかなか理想の椅子が見つからないなら、ぜひオーダーメイドで希望通りの椅子を注文してみてはいかがでしょうか。

一般的な椅子のサイズは?椅子選びには座面の高さも意識しようまとめ

椅子選びは座る人の身長や体型に合わせ、身体にフィットした椅子を選ぶことが大切です。既製品の椅子は成人男性の平均身長に合わせたものが多く、すべての人に適切なサイズというわけではありません。特に座面の高さは、快適な座り心地に直結するので、椅子選びの際には重要視すべきポイントです。椅子選びで重要なポイントを押さえ、ぜひ理想的な椅子を選んでみてはいかがでしょうか。

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