アッシュ材は、家具材としてだけでなく、床材や楽器などの文化物にと幅広い用途があります。無垢材だけでなく、突板などの用途としても高い人気のある木材。主に北米地域が原産の木材ですが、和の雰囲気にマッチしやすく、はっきりとしたきれいな木目が特徴です。
この記事では、アッシュ材とはどのような木材なのか、特徴やオーク材との比較も合わせてご紹介します。
アッシュ材とは?
アッシュ材は、トネリコと呼ばれる樹木を原料とした木材で、日本のタモ材と非常に似ています。一般的に「アッシュ材」というと「ホワイトアッシュ」を指すことが多く、人気の高い木材の一つです。さまざまな用途で使用されていますが、美しい木目を活かしてフローリング材に使用されています。
また、しなやかさと強度を活かして野球のバットやバイオリン、ギターといった楽器に使用されることも多い木材です。
アッシュ材の特徴
アッシュ材の最大の特徴は、力強く美しい木目です。その美しい木目は、「木を使った空間」を演出しやすく、且つ爽やかで清潔感のある雰囲気にしてくれます。そのため、木目の表情に応じてさまざまな用途に使われることも多いのが特徴です。和の雰囲気だけでなく、ナチュラルテイストや北欧テイストにも合わせやすい雰囲気を持っています。
さらに、頑丈で衝撃に強く、弾力性もあるといった特徴があります。家具に使用しても数十年、あるいはそれ以上の耐久年数を誇る場合も多く、古くからアンティーク家具などにも使用されてきた歴史があります。
また、数ある木材のなかでも経年変化が少なく、長く使い続けてもわずかに黄色く変色する程度で、新品に近い状態を維持できます。
タモ材とアッシュ材
タモとアッシュは原産地によって呼び方が変わるだけで、どちらもモクセイ科トネリコ属の広葉樹です。アッシュ材は、タモ材に比べると目が粗く、柔らかい丸い板目で、より白っぽいのが特徴です。
ライトアッシュとは?
ライトアッシュとは、単に「軽いアッシュ材」という意味の通称です。主に「スワンプアッシュ」が「ライトアッシュ」と呼ばれることが多いですが、どの種類のアッシュ材であっても、比重が軽ければ「ライトアッシュ」と呼称されます。
ジャパニーズアッシュとは?
北海道や本州北部に生息しているヤチダモやオオバトネリコなどの総称である「タモ」は、海外では「ジャパニーズアッシュ」と呼ばれています。アッシュに比べて目が詰まっており、山のように尖った板目が特徴の木材です。
また、日本で採れる木材のセンも「ジャパニーズアッシュ」と呼ばれることがあります。センは、アッシュに見た目が似ており、ギターやベースのボディ材としてよく用いられています。ただし、センはウコギ科、アッシュはモクセイ科なので、見た目は似ていますがまったく別の木です。
代表的なアッシュ材3選
アッシュ材は、ジャパニーズアッシュのように産地によって呼び方が変わることがあります。ここでは、代表的なアッシュ材を呼称別に見ていきましょう。
ホワイトアッシュ
ホワイトアッシュとは、北米産の「アメリカトネリコ」や「アメリカタモ」のことを指します。アッシュのなかでも明るい色味が特徴的で、ギターなどにも使用されており、身近な道具作りに重宝される木材です。
スワンプアッシュ
スワンプアッシュとは、ホワイトアッシュよりも重量がかなり軽いのが特徴の木材です。乾燥しやすくて、柔らかく加工性の高い木材で、ホワイトアッシュと同様にギターなどに使用されています。
また、スワンプアッシュは産地の気候変動にともなって枯渇しつつあり、貴重な木材です。
ブラックアッシュ
ブラックアッシュとは、北米を産地とする木材で、日本のタモによく似た色合いを持つ木材です。強さとしなやかさを兼ね備え、加工性に優れている特徴があります。
アッシュ材を使うメリットとデメリット
産地によって違った呼称で呼ばれ、さまざまな用途に活用されるアッシュ材ですが、メリットもあればデメリットも存在します。
アッシュ材のメリットは、やはり木目の美しさと耐久性の高さが挙げられます。美しい木目は和のテイストともマッチしやすく、最低限のメンテナンスを欠かさなければ長年にわたって使い続けることが可能です。
一方、アッシュ材は数ある木材のなかでも固く、加工がしづらい点がデメリットとして挙げられます。彫刻などの細かな細工などの加工には不向きで、シンプルなデザインに仕上がる傾向です。
オーク材との比較
オーク材とは、外国産の木材のなかでも特にアッシュ材と似た特徴をもつ木材です。アッシュ材よりもさらに頑丈で重量があります。どちらも白みの強い色で美しい木目をもつ木材ですが、アッシュ材は木目がくっきりしているのに対し、オーク材は木目の模様がぼんやりと曖昧なのが特徴です。
オーク材はアッシュ材に比べて値段が若干高い傾向にあります。また、オーク材には熱伝導率が高いのもデメリットです。
アッシュ材を使ったテーブル
家のなかで使用頻度の高いテーブルの天板にアッシュ材が用いられることが少なくありません。天板のみの場合もあれば、脚を含めた全体にアッシュ材を使用する場合もあります。
テーブルの上は、お皿やコップなど固いものを置くので傷つきやすく、耐久性や対衝撃に優れたアッシュ材はテーブルに最適な木材です。
また、木目がはっきりしているので、木の素材感をしっかり感じられる仕上がりになり、さまざまなインテリアとマッチします。
アッシュ材を使った椅子
テーブルのデザインと統一するために、椅子にもアッシュ材が用いられることが少なくありません。テーブルと相まって木の温もりを感じやすく、部屋全体が自然の雰囲気に包まれます。
また、アッシュ材は固く、頑丈なため、アッシュ材の椅子の耐久性も申し分ありません。
アッシュ材を使ったフローリング
アッシュ材は経年変化の少なさを活かしてフローリング材として使用されることもあります。アッシュ材の美しい木目が落ち着いた、非常におしゃれな雰囲気を生み出してくれるでしょう。
また、アッシュ材を使用することで傷がつきにくく、歪みにくいといった実用的なメリットも兼ね備えています。
アッシュ材とは?アッシュ材の特徴とオーク材との比較まとめ
家具だけでなく建材、スポーツ用品、楽器に至るまで、さまざまな用途に活用されることが多いアッシュ材についてご紹介しました。主にテーブルなどの家具やフローリング材として使用され、頑丈で経年変化が少ない特徴から長年にわたって使い続けていくことができます。
また、使い勝手が良く、価格も手ごろなため、人気の高い木材の一つです。明るい色味とはっきりとしたきれいな木目で、木の雰囲気を楽しみたいという方におすすめします。
アッシュ材を使って、オーダーメイドの家具や住宅の建設、リフォームなどの際は、メリット・デメリットをしっかりと把握し、用途や場所に応じて使い分けることが大切です。