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リモートワークの浸透により、オフィス内でのWeb会議や集中作業のための空間確保が課題となっています。テレカンブースは、防音性と個室性を兼ね備えた省スペース型ソリューションとして注目されています。本記事では、導入時の設計ポイントから選定基準、活用法まで、実務担当者が押さえるべき知識を網羅的に解説します。

テレカンブースとは何か?その役割と機能

テレカンブースは、オフィス内に設置する防音性を備えた個室型ワークスペースです。Web会議や電話対応、集中作業に適した環境を提供し、遮音・換気・電源などの基本機能を標準装備しています。リモートワークとオフィス勤務が混在する現在、従来の会議室では数が不足し、自席での通話は周囲への配慮が必要でした。必要な人が必要なときだけ使える個室空間として、オフィス環境の課題を解決します。

テレカンブースの定義と使われ方

電話会議やビデオ会議を行うために設計された個室型ブースです。周囲の雑音を遮断しながら音漏れも防ぐため、商談や1on1ミーティング、オンライン面談など多様な用途に対応します。デスク・照明・電源・換気設備を標準装備し、設置後すぐに利用可能です。

「Web会議ブース」「集中ブース」との違い

テレカンブース、Web会議ブース、集中ブースは呼称が異なるものの性能や用途はほぼ同一です。いずれも目隠し効果と遮音性を持ち、集中環境として機能します。製品選定時は名称ではなく、防音性能や設備仕様を基準に判断する必要があります。

導入背景と普及の流れ(コロナ禍以降)

新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、リモートワークが急速に普及し、オフィス内でのWeb会議需要が増加しました。従来の会議室では数が不足したため、会議室不足を解消する省スペース型ソリューションとして導入企業が拡大しています。

主な機能・性能要件(防音、換気、電源など)

基本性能は遮音・吸音による防音効果、換気機能、電源・通信設備の3点です。遮音性能は20~40dB程度の減衰が目安で、換気はファンによる強制換気で対応します。電源はコンセントとUSBポートを標準装備し、PC作業に対応します。

テレカンブースの種類と構造比較

オフィス 個室ブース

テレカンブースは構造により完全個室型、セミクローズ型、開放型の3タイプに大別されます。天井や扉の有無、素材の違いにより遮音性能と価格が変動し、用途に応じた選定が必要です。完全個室型は最高の遮音環境を提供しますが、消防法上の制約や高額な導入費用がネックになります。セミクローズ型は性能とコストのバランスに優れています。開放型は簡易的な目隠しとして機能し、短時間利用向けです。

完全個室型 vs セミクローズ型 vs 開放型ブース

完全個室型は床・壁・天井・扉すべてが囲われ、最も高い遮音性能を持ちます。価格は60万~100万円程度です。セミクローズ型は天井が開放され、20万~60万円程度で導入可能です。開放型は10万~20万円程度と安価です。

素材・パネル構造・遮音仕様の違い

遮音性能は使用される素材とパネル構造に大きく依存します。高性能モデルでは吸音材としてグラスウールやウレタンフォームを内蔵し、表面材には不燃クロスや防音ガラスを採用します。パネル厚が厚いほど遮音効果は高まります。

天井開放型/屋根付き型の選定基準

天井の有無は防音性能と法規制の両面に影響します。屋根付き型は高い遮音効果が得られる反面、消防法上の「居室」扱いとなります。天井開放型は「家具」扱いのため設置の自由度が高く導入しやすい特徴があります。

サイズや人数対応バリエーション

1人用は幅1m×奥行1m程度のコンパクト設計で、個人のWeb会議や集中作業に適しています。2人用は1on1ミーティング、4人用は小規模会議に活用できます。人数が増えるほど価格は上昇し、4人用では150万円を超える製品もあります。

テレカンブースの設置・導入ポイント

オフィス フリーアドレス

設置には物理的スペースの確保だけでなく、電源・通信インフラの整備、換気対策、法規制への対応が必要です。事前の現地調査と関係各所との調整が、スムーズな導入の鍵となります。計画段階では設置場所の選定、搬入経路の確認、既存設備との干渉チェックを行います。消防法や建築基準法に抵触する可能性があるため、ビル管理会社や所轄消防署への事前相談も欠かせません。入念な事前調査がトラブルのない導入を実現します。

設置場所・レイアウト上の注意点

設置場所は動線を妨げず、避難経路を確保できる位置を選びます。壁際やオフィスの奥など、通行量の少ないエリアが適しています。搬入経路の寸法確認も重要で、エレベーターや通路幅、天井高を事前に測定します。

電源・LAN・配線インフラ整備

PC作業やスマートフォン充電のための電源が不可欠です。標準的な製品にはコンセントとUSBポートが装備されていますが、ブースまでの配線経路を確保する必要があります。Web会議の安定性を重視する場合は有線LAN接続が推奨されます

換気・空調確保のための工夫

密閉性の高いブースでは換気機能が快適性を左右します。完全個室型では換気ファンを標準装備し、30~40秒で室内空気を循環させる製品が一般的です。夏季は室温上昇のリスクがあるため、空調の効きやすい場所に設置します。

消防・建築基準/法規対応ポイント

完全個室型は消防法上「居室」とみなされる可能性があり、スプリンクラーや火災報知器の設置が求められる場合があります。セミクローズ型は「家具」扱いとなり制約が緩和されますが、管轄消防署によって判断が異なるため事前確認が必須です。

選び方・比較基準:性能・価格・使い勝手

テレカンブース選定では、遮音性能の数値確認、快適性を支える設備仕様、導入・運用コストの比較、長期的なメンテナンス性の4軸で評価します。製品カタログやメーカーサイトに掲載された仕様だけでは、実際の使用感は判断しきれません。可能な限りショールームで実物を体験し、遮音効果や室内の広さ、照明の明るさを確認します。価格の安さだけで選ぶと防音性が不十分なリスクがあります。自社の利用目的と予算のバランスを見極めます。

遮音性能(dB 等)比較と目安値

遮音性能は透過損失やデシベル減衰量で表され、数値が大きいほど高性能です。一般的なオフィス環境は50~70dB程度のため、20~30dBの遮音性能があれば快適な静寂が得られます。可能であればショールームで実際に体験し判断します。

快適性(照明・換気・間取り)を見る指標

快適性は長時間利用における満足度を左右します。照明は色温度調節機能付きLEDが理想的で、換気は1分以内に室内空気が循環する性能が目安です。デスクとチェアの品質も重要で、長時間作業に耐える人間工学設計かを確認します。

導入コスト/ランニングコスト比較

導入コストはブースタイプにより大きく異なります。開放型は10万~20万円、セミクローズ型は20万~60万円、完全個室型は60万~100万円が相場です。搬入・設置費用、電気工事費が別途必要になるケースもあります。

メンテナンス性・拡張性・可変性

メンテナンス性は長期運用のコストと手間に直結します。拡張性では、オプション機能を後付けできるかを確認します。可変性はレイアウト変更時の移動・再設置のしやすさを指し、企業の成長や組織変更に柔軟に対応できる製品が推奨されます。

テレカンブースの活用事例と効果

テレカンブースは会議室不足の解消、分散勤務への対応、集中作業環境の提供など多様な場面で活用され、利用率や社員満足度の向上といった効果が報告されています。導入企業の事例では、単なる設備追加ではなく、働き方改革やオフィス改善の一環として位置づけられています。ハイブリッドワークに対応したフレキシブルなワークプレイスづくり、社員のウェルビーイング向上、生産性の向上といった経営課題の解決にも貢献しています。

オフィス内会議室不足の解消例

リモートワークの普及により、オフィスに出社する社員が個別にWeb会議を行う機会が増加し、従来の会議室では数が不足する事態が発生しました。複数台設置すれば同時多発的なWeb会議にも対応でき、会議室の取り合いが解消されます

分散勤務・ハイブリッドワーク対応の例

ハイブリッドワークでは、出社日と在宅勤務日が混在するため、オフィスでの作業環境を柔軟に提供する必要があります。フリーアドレス制を導入した企業では固定席がなく、テレカンブースが個人の集中スペースとして機能します。

集中作業・リモート対応拠点での活用

オープンオフィスでは周囲の会話や電話音が気になり、集中力が途切れるという課題があります。テレカンブースを集中作業用に開放し、企画書作成やプログラミングなど高度な思考を要する業務に活用する企業が増えています

効果検証:利用率・満足度・ROI など

導入後の効果を定量的に把握するため、利用率・満足度調査・ROI算出を行う企業が増えています。予約管理システムを導入すれば、時間帯別の利用率や平均利用時間を可視化でき、不足台数や配置の最適化に役立ちます。

導入後に重要な運用・改善のコツ

導入後は利用ルールの整備、定期メンテナンス、利用者フィードバックの反映、既存会議室との使い分け戦略により、ブースの価値を最大化します。設備を導入しただけでは期待した効果は得られません。社員が積極的に使いたくなる環境づくりと、公平に利用できるルール整備が重要です。実際の利用状況を観察し、問題点が見つかれば柔軟に改善します。社員の声を聞き、小さな改善を積み重ねる姿勢が、真に活用されるツールへと育てます。

利用ルール・予約管理制度の設計

全社員が公平に利用できるよう、明確なルール設定が必要です。1回あたりの利用時間上限を定め、長時間の独占を防ぎます。予約制とし、オンライン予約システムで空き状況を可視化します。運用開始後は利用状況を定期的に見直します。

定期的なメンテナンス・点検体制

快適性と安全性を維持するため、定期的なメンテナンス計画を策定します。換気ファンのフィルター清掃、照明の点検、ドアの開閉動作確認を月次で実施します。メーカーの保守契約を結んでおけば、トラブル発生時に迅速な対応が可能です

利用フィードバックを反映した改善方法

導入後は定期的に利用者アンケートを実施し、不満点や改善要望を収集します。「室温が高い」「照明が暗い」といった具体的な声を集め、優先順位を付けて対応します。利用者の声を反映した改善を繰り返せば、満足度が向上します。

組み合わせ運用:会議室との使い分け戦略

テレカンブースは既存会議室を代替するものではなく、用途に応じた使い分けが効果的です。1人でのWeb会議や短時間の集中作業にはブースを活用し、複数名での対面会議には会議室を使用します。使い分けルールを明文化すれば効率的に活用されます。

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まとめ

テレカンブースは、防音性能と省スペース性を兼ね備え、オフィスのWeb会議環境と集中作業空間を手軽に拡充できるソリューションです。導入時は構造や性能を比較し、設置場所や法規制を確認します。運用ルールを整備し利用者の声を反映すれば、満足度と稼働率が向上します。適切な選定と運用により、働きやすいオフィス環境が実現できます。