仕事で長時間座る姿勢を取り続ける方におすすめなのが、人間工学に基づいた設計で体に良いとされている椅子です。体に負担をかけないような椅子に座って仕事ができれば、仕事の効率もアップするでしょう。

この記事では、体に良いとされている人間工学を取り入れた椅子の選び方を解説します。人間工学の基本についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

人間工学とその重要性

体に良い椅子の情報をチェックするとたびたび登場するのが、人間工学という言葉です。どのような意味があり、なぜ椅子に取り入れられることが多いのか知っておきましょう。

人間工学の基本原則

人間工学とは、人間ができるだけ自然な動きや状態で使えるように物や環境を設計して、デザインに活かす学問のことです。エルゴノミクスやヒューマンファクターと呼ばれることもあり、起源は1850年代のヨーロッパですが今や世界のさまざまな地域で実践されています。

疲れにくさを謳っている椅子のなかには、人間工学に基づいて作られた商品があります。人間工学は人間が無理のない状態でいられるようにするための学問なので、椅子に座っているときの人間の姿勢や行動などを分析。快適に使えるよう機能やデザインを工夫して設計することで、快適に座り続けられる椅子ができあがるのです。

近年では、従業員が過ごしやすい職場にするためのオフィスデザインにも人間工学の考え方が取り入れられています。

人間工学が健康と生産性に与える影響

人間工学の考え方を取り入れることは、人間の健康や生産性に大きな影響を与えます。

人間工学では、人間が仕事をするとき体に負担をかけず疲れにくくなるような筋肉の使い方を研究します。人間は同じ姿勢を取り続けることで体が疲れてしまうため、人間工学に基づいた椅子を開発することで疲労の軽減が可能。疲労が溜まりにくくなると集中力が持続し、生産性向上につながります。体に負担をかけなければ腰痛や血行不良などの健康上の問題も起こりにくくなるため、健康状態も改善するでしょう。

人間工学の効果:腰痛対策とリラクゼーション

人間工学は体に負担をかけないよう研究する学問なので、無理な姿勢を取り続けることで発生する腰痛の予防ができます。

人間の体は、常に重力の影響を受けています。それでもさまざまな姿勢が取れるのは、重力に逆らい体を支えてくれる筋肉の存在があるからです。筋肉の支えがなければ、椅子に座ったり立ち上がったりする動作も維持できません。

椅子に座り続けるなど同じ姿勢を取り続けると、筋肉が緊張した状態のままになってしまい、そうすると疲労や血行不良を招いて体が痛みます。これが、長時間デスクワークをすることで腰痛が発生する理由です。人間工学に基づいた椅子は無理のない姿勢をキープできるため、腰痛が発生するリスクを軽減できます。

また、人間工学に基づいた椅子を使うことで、リラクゼーション効果も期待できます。人間工学で研究する体の自然な状態とは、過度な緊張がかからずリラックスできている状態のことです。人間工学をもとに設計された椅子は無理のない姿勢で体に無駄な力が入らないため、プレッシャーから解放されリラクゼーション効果が期待できるでしょう。

人間工学に基づく体に良い椅子の選び方

オフィスチェア

人間工学に基づいた体に良い椅子を選ぶ際は、以下のポイントを押さえることが大切です。

人間工学に基づく椅子

人間工学に基づく椅子と一口にいっても、その特徴はさまざまです。人間工学を取り入れた椅子を購入したいと考えているのであれば、まずは大まかな特徴を把握してください。

例えば、背骨のカーブに沿うように背もたれの角度が調整された椅子であれば、腰痛の予防効果が期待できます。人間の背骨はS字にカーブしているのが基本で、猫背のようにカーブを保てない座り方をすると腰痛を招くこともあるため注意しなければなりません。最初から背もたれがカーブしている椅子であれば、クッションやタオルなどで調整しなくても楽に背骨の位置をキープできます。

ほかにも、坐骨で座れるようにする椅子や背骨と骨盤を包み込むようにして座れる椅子なども販売されています。正しい姿勢をキープするために注力されているポイントは商品によって異なるので、購入前に確認してください。

椅子の素材とスタイルの選び方

体に良い椅子を選ぶ場合、使われている素材にも注目することが大切です。特に座面に使われている素材は、長時間座り続けたときの快適性を大きく左右します。メッシュ素材は蒸れにくいため、季節問わず快適に使える椅子を探している場合におすすめです。

メッシュ素材のほかに、ファブリック素材や革素材を採用している椅子もあります。蒸れにくさはメッシュ素材に劣りますが、ファブリック素材はデザインやカラーのバリエーションが豊富で、革素材は高級感を出せるというメリットも。快適性だけでなく、椅子を置く場所の雰囲気なども考えて選ぶのが良いでしょう。

勉強や仕事における適切な椅子の選択

勉強や仕事で長時間座っても疲れにくい椅子を選びたいなら、座面の高さやサイズにも注目してください。高さやサイズが適切でなければ、体に負担をかけてしまう可能性があります。

椅子の最適な高さは、座面の奥までしっかりと座ったときに足裏全体が床に接する高さです。座面高が大体床から36〜45cm、身長×1/4が適切とされています。購入してから微調整したい場合は、高さを細かく調節できる椅子を検討しましょう。

座面のサイズは、奥まで深く腰掛けたときに膝裏が座面に当たらないくらいがちょうど良いとされています。購入前にサイズを確認し、適切なものを選ぶのがおすすめです。

体に良い椅子を選ぶときに注目したいポイント

会議室 オフィスチェア

体に良い椅子を選ぶときは、以下のポイントにも注目してみてください。

予算に応じた椅子の選び方

体に良い椅子は基本的に通常のオフィスチェアよりも価格が高い傾向があるため、予算を考えながら選ぶ必要があります。人間工学に基づくデザインを採用した高機能な椅子であれば、10万円以上することも珍しくありません。

オフィスチェアのなかには1万円以下で購入できる商品もありますが、機能は座面の高さを調節できる程度です。快適性を重視するのであれば、座面だけでなく背もたれの位置を細かく調節できたり、座りやすくしたりするための工夫が施されているものを購入するのが良いでしょう。5万円程度でも、優れた椅子は多数あります。

リラックスチェアとリクライニングチェアの選択

人間工学に基づいた体に良い椅子には、リラックスチェアやリクライニングチェアなどもあります。

リラックスチェアは、くつろぐために作られた1人用の椅子のこと。自宅でリラックスするために使われるほか、近年ではオフィスのリラックススペースに導入されることもあります。リクライニングチェアとは、背もたれを段階的に調節できる椅子のことです。リラックスするための椅子にも仕事をするための椅子にも、リクライニング機能が備わっているものがあります。用途や予算を考え、適切なものを選んでください。

オフィスチェアとソファの選び方

近年では、オフィスチェアのほかにソファを置く企業も増えてきました。リラックススペースやディスカッションスペースなどにソファを導入することで、適度にリラックスしながら快適に仕事ができると考えられています。

オフィスチェアもソファも、座り心地やサイズにこだわって選びましょう。さらに、オフィスに置くなら周囲の雰囲気と合っているかも意識したいポイントです。カラーやデザインなどで他のオフィス家具と調和しているかどうか、確認したうえで購入してください。

人間工学に基づいた体に良い椅子についてまとめ

人間工学に基づいた椅子は、体に良い椅子として快適に仕事をしたい方から選ばれています。体のどの部位を特にサポートするか、使われている素材は何かなど、体に良い椅子と一口にいっても特徴はさまざまです。購入前に特徴を確認し、適切だと思うものを導入してみることをおすすめします。

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