日本の居酒屋文化は、ただの飲食の場を超え、世界に知られる独特の魅力があります。その中心的な要素となっているのが、それぞれの居酒屋が持つユニークな内装です。しかし、飲食店には客席や厨房、バックヤードなどの基本的な設備が必要ですし、内装はコンセプトやターゲットに合わせて設計しなければなりません。この記事では、内装の基本を抑えた上で、ユニークな空間を実現するコツを解説します。
居酒屋内装について基本的なポイント
飲食店の内装は、出入口や内装のデザインによって、雰囲気が大きく変わり、集客にも大きな影響を与えます。人気店は、料理の味や店主・スタッフの接客に加えて、内装やエントランスのデザイン効果も人気の理由のひとつです。デザインの選び方や間取り、空間を決める際には、基本を押さえておくとよいでしょう。
居酒屋に最適なデザインの選び方
居酒屋の内装のデザインは、お店のコンセプト次第です。コンセプトが曖昧、あるいは一貫性がないとデザイナーに伝わりづらく、思っているものと違ったものを提案されてしまうこともあります。デザインを選ぶ際は、ひと言で説明できるコンセプトにすると分かりやすく、デザイナーにも伝えやすくなります。コンセプトを固めておくことで、家具や間取りなどの選択もスムーズに進むでしょう。
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快適な間取りのために考えること
快適な間取りのためには、動線づくりが重要なポイントです。居酒屋をはじめとする飲食店は、スタッフや来店客の移動が多いため動線をつくるとスムーズに移動できます。動線をつくることで移動のしやすさだけでなく、来店客が店内に入ってきたことが気づきやすくなるのもひとつのメリットです。動線を考えずにレイアウトをつくると、来店した客に気づかなかったり、移動しづらかったり来店客とぶつかってしまうなど自然な移動ができなくなってしまいます。
おしゃれな内装で訪れたくなる空間へ
店内を客席、厨房、バックヤードの3つに分けて考えて家具選びや配置、店内の見せ方を考えるのがおすすめです。例えば客席の中だと、席、エントランス、通路の3つに分けることができ、テーブル・椅子や照明、カラーリングなどに細分化できます。これと最初に決めたコンセプトを基に、おしゃれでかつお店に合ったものを選びましょう。
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居酒屋の内装における重要な要素
居酒屋の内装を考える際は、基本的なポイントに加えて、次の3つの要素を押さえると、ユニークでおしゃれな店内を実現しやすくなります。
コンセプトの明確化とターゲット設定
基本的なポイントでも触れましたが、居酒屋の内装を考える際にまずやるべきことはコンセプトを決めることです。例えば、個室のある居酒屋にするか、大衆居酒屋にするか、和風、レトロ、モダンなどの雰囲気の居酒屋にするかで、内装は変わってきます。
さらにコンセプトだけでなく、年代・性別・職業などターゲット層を絞り明確にするのも内装づくりに重要な要素です。ターゲット層を決めるのは、内装だけでなくメニューの単価を考える際にも役立つ要素のため、コンセプトを決める前に決めておくのがよいでしょう。
重要なエントランスのデザイン
お店の玄関であるエントランスは、飲食店を経営する上でも重要なポイントです。特に居酒屋はできるだけ多くの人に入ってみたいと思わせるような工夫をしなければなりません。そのひとつがエントランスです。エントランス部分に、店のコンセプトを表現するような要素を取り入れることで、「このお店はどんな料理が食べられるのか」と興味を持った客が来店しやすくなります。
例えば、海鮮を楽しめる居酒屋であればいけすを、大衆居酒屋であれば賑やかな店内の雰囲気が見えるようにしたり、入り口に提灯などを飾ったりするのもおすすめです。
効率的で魅力的な客席のレイアウト
人気の居酒屋は、雰囲気やデザインだけでなく、移動のしやすさなどレイアウトにもこだわっています。居酒屋は来店客とスタッフ双方の移動が多いため、動線が重要です。特に来店客は酔っていることが多く、足取りが覚束なかったり思考が鈍っていたりするため、レジやトイレ、出口までの通路が分かりづらいとストレスに感じてしまいかねません。
繁忙期や休日などはスタッフ同士で代わる代わる移動することも多いため、ぶつかってしまったり通路を通れないなど、業務効率も落ちてしまうため客席の通路を広めにとったりするなどして動線を確保しましょう。動線がしっかりつくられていると新しく来店客が来た場合も、すぐ気づけるためスムーズに案内できます。
また、客席はコンセプトに合わせたものをチョイスするのがおすすめです。レトロであれば昭和の家風にして、壁に昔懐かしのビールなどのポスターを貼るなど、コンセプトに合った小物を使って工夫すると来店客も雰囲気を味わいながら食事を楽しめます。さらに、客席の雰囲気に合わせて照明の明るさや色などを調節していくのがポイントです。
居酒屋内装のパターンを提案
居酒屋の内装には、モダン、レトロ、和風などさまざまなデザインがあります。それぞれに違った魅力があるため、コンセプトに合ったものを参考にするとよいでしょう。
モダンな内装の魅力
モダンテイストの内装デザインにする場合は、鉄骨や梁、柱などの無機質な素材を取り入れ、壁をレンガ調にすると、現代的で無機質な雰囲気を演出できます。家具は、グレーやモノトーン、パイン材などの無機質な色や素材を取り入れるのもおすすめです。モダンに丸みのあるデザインや木目のあるものを取り入れれば、和モダンの雰囲気を演出できます。
レトロスタイルでつくる温もりの空間
レトロテイストの居酒屋が近年増えてきており、その年代を生きてきた世代からはもちろん、10代から20代の若者からも人気です。昭和にヒットした歌謡曲のレコードやポスター、一般家庭の室内を再現した内装もあります。
テーブルをちゃぶ台にして、土壁や照明の明るさ、電球の色を調節すると昔ながらの家を演出することも可能です。また、大衆居酒屋にするならエントランス部分に赤提灯を吊り下げ、ビールケースを椅子として使ってみるのもよいかもしれません。
伝統的な和風デザインの活用方法
和風テイストの居酒屋は、内装全体を和風に仕上げるのがポイントです。障子やタタミ、木目調の家具、魚拓、和紙を使った照明などの小物を取り入れると和を感じさせる内装に仕上げられます。また、壁は曲線や桜の花などのデザインにすると柔らかい雰囲気にもなるためおすすめです。
居酒屋の内装デザインの注意点
居酒屋の内装デザインで注意すべき点は大きく分けて3つあります。これらのポイントを押さえておくと、オープンに間に合わない、思っていたデザインと違うなどトラブルを防ぐことが可能です。
スケジュールと予算の管理
居酒屋の内装デザインを業者に依頼する前に、スケジュールと予算の管理をしておきましょう。工期は一般的に2〜3ヶ月が目安です。早くて6ヶ月、遅くても4ヶ月前と、余裕をもって動けばオープンに間に合わなくなるということもありません。
また、予算の管理も重要です。内装工事は居抜きとスケルトン物件の2種類があり、工事費用も種類によって左右されます。居抜き物件は、前のお店の設備や壁などが残っている状態のため、そのまま内装を利用でき工事費を押さえることができます。一方のスケルトン物件は、壁などが撤去された状態のため、一から内装をつくる必要があり、その分工事費用も高くなります。どちらの物件がより費用対効果が高いのか、予算との兼ね合いも考えて決めましょう。
信頼できる工事業者の選び方
内装デザインをする上で大切なのは工事業者選びです。工事業者によって内装の出来が変わってくるため、慎重に選ぶことが重要です。
工事業者を選ぶ際は、これまでに居酒屋の内装デザインを請け負った実績のある業者を選ぶのがポイントです。また、どのくらいの予算で請け負ってくれるのか、アフターフォローなどのサポートも充実しているかも見積りを依頼した際にチェックしておくと、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。
安全性と機能性を兼ね備えたデザインの重要性
お店の内装はデザインだけではありません。デザインも重要ですが、機能性も考慮してデザインすることが重要です。
例えば、来店客や店内のスタッフが移動しやすいレイアウトにすることで、安全性や業務の効率を高めることができます。また、同じ人が長時間滞在しないように少し窮屈に感じる程度のスペースにすることで、回転率を向上させることが可能です。安全性と機能性を兼ね備えたデザインは、お店の運営を円滑に進めるために欠かせません。
まとめ
居酒屋の内装デザインは、コンセプトとターゲット層の設定が重要です。コンセプトとターゲット層をしっかり決めておくことで、内装デザインの方向性も決めやすくなるでしょう。ユニークなデザインの内装を実現するためには、家具にも工夫が必要です。