突板は、業務用家具に使われる素材として人気がある木材のなかでも、無垢材に比べて価格を抑えられる木材です。突板家具の特徴を知って適切に導入すれば、コスト削減と見栄えの良さが同時に叶う可能性があります。
この記事では、突板家具のメリットとデメリットについて解説します。突板家具と無垢材家具の相場もご紹介しますので、業務用家具選びに役立ててください。

突板とは

突板という言葉には、あまり馴染みがない方も多いのではないでしょうか。まずは突板家具とは何か、そして無垢材家具とは何が違うのかを解説します。

突板家具とはどういうもの?読み方は?

突板は、「つきいた」と読みます。突板とは、天然の木を薄くスライスした板のこと。一般的には木材を0.2mm〜2.0mmほどに薄く切ってから、ベニヤ板や集成材に貼り付けて使用します。
近年では、木目を紙やビニールなどの素材に印刷して、木のデザインを人工的に表現したプリントシートなども家具に使われています。しかし、プリントシートはあくまで印刷物であり見た目を木に似せているだけなので、天然の木の良さは感じられません。
突板は薄くスライスしているといえど本物の木を使用するため、木の質感や木目の美しさを感じられるでしょう。手軽に天然の木の魅力を取り入れられることから、突板を採用した家具は人気を集めています。

突板家具と無垢材家具との違い

木材を使用した家具として日本で人気があるのは、無垢材家具です。無垢材とは、天然の木をそのまま切り出したもの。乾燥や加工といった最低限の作業しかしていない木材を使用するため、出来上がった家具では純粋な木の質感を楽しめます。
無垢材家具は天然の木でできているので、重厚感があります。一方突板家具は薄くスライスした木を芯材に貼り付けて使用するため、無垢材家具よりも軽くて扱いやすいのが特徴です。動線や景観を意識して移動させる機会が多い業務用家具では、軽くてスムーズに動かせる突板家具も多く使われています。

突板家具のメリット・デメリット

メリット デメリット

突板家具と無垢材家具の違いが大まかにわかったら、今度は突板家具の長所や短所も確認しておきたいところです。ここからは、突板家具の具体的なメリットやデメリットをご紹介します。

メリット:リーズナブルな値段

突板家具のメリットは、リーズナブルな値段です。
天然の木を大量に使用する無垢材家具は、どうしても高価になってしまいます。業務用家具のように大きさや数が必要な場合に無垢材家具を選ぶと、コストも高くついてしまうでしょう。
一方突板家具は、天然木を薄くスライスした板を別の芯材に貼り付けて家具を製作します。木材の使用量が無垢材家具より圧倒的に少なく済むため、その分価格を抑えられるのが魅力です。リーズナブルで済むとはいえ、突板家具は木材の良さを存分に活かした出来上がりになるので、見た目の美しさもコスト削減も両立させたい場合におすすめです。

メリット:銘木を使うことができる

突板家具のメリットとして、銘木を使うことができる点も挙げられます。
銘木とは、色・形状・材質が優れて独特の趣を持つ木のことです。銘木は見た目の美しさから高く評価され、家具に使用すると価値が高まります。ただし、銘木も樹木のため、育つまでには膨大な時間が必要です。無垢材家具に銘木をふんだんに使用すると、家具はたくさん作れなくなってしまいます。
そこで、木を薄くスライスする突板家具が役立ちます。突板家具に銘木を使用すれば家具ひとつあたりの木の消費量が少なく済むため、より多くの家具に美しい木を使うことが可能です。銘木にこだわって家具選びをしたい場合にも、突板家具は適しているでしょう。

メリット:メンテナンスが簡単

除菌しながらテーブルを拭く

突板家具には、メンテナンスが簡単というメリットもあります。
無垢材を使用した家具は、適宜メンテナンスをすることで長く使い続けることが可能です。汚れがついたら拭き取り、定期的にオイルやワックスを塗ることで大切な家具を育てられます。
突板家具も無垢材を薄く切っているため、定期的なメンテナンスが必要です。ただし、突板家具で使われている木材部分は無垢材家具よりも少ないため、スムーズにメンテナンスできます。無垢材家具と同様丁寧に扱う必要がありますが、無垢材家具よりもメンテナンスが手軽です。

メリット:デザイン性が高い

突板家具のメリットとして、デザイン性が高いことも挙げられます。
突板家具は無垢材家具と同じように、自然な木目や木の風合いを楽しめます。それだけでなく、突板は薄いことから無垢材では難しいデザインや加工も可能。継ぎ目のない木目模様のデザインも、突板家具なら表現することが可能です。ユニークなデザインの業務用家具が欲しい方は、突板家具を検討してみると良いでしょう。

デメリット:傷に比較的弱い

さまざまなメリットがある突板家具にも、デメリットはあります。まず、比較的傷に弱い点がデメリットです。
丸太を厚みのある板に加工して使用する無垢材家具の場合、傷がついたりへこんだりしても表面をやすりがけすれば修復できます。それに対し、突板家具は薄くスライスされた板なので、表面を削る加工は難しいのです。傷がついた部分を削ろうとしてやすりがけをした結果、芯材であるベニヤ版などが見えてしまって見た目が悪くなることもあります。
突板家具を傷から守るためにはウレタン塗装がおすすめですが、木の質感は感じにくくなるため注意が必要です。

デメリット:耐水性に劣る

突板家具のデメリットは、耐水性がほかの素材より劣ることです。
木製の家具は水に弱く、水をこぼしたりコップの水滴が付着したりすると家具の表面がシミになってしまいます。放置するとシミになりやすいため、家具に水がついたらすぐに拭き取らなければなりません。飲食店などに突板家具を置く場合は、不便に感じることもあるでしょう。

デメリット:長期間の使用による変色

突板家具に使われる木材の種類によっては、長期間使用することで変色してしまうというデメリットもあります。
無垢材家具も同様ですが、自然の木材は経年変化で色が変わっていくのを楽しめるのが魅力です。ただし、光や温度、大気汚染などの影響で意図しない形で木の変色が進んでしまうことも珍しくありません。長期間の使用による突板家具の変色を防ぐためには、直射日光が当たらない場所に置くなどの対策が必要です。

突板家具の相場

突板家具のメリットとデメリットについて確認できたら、突板家具と無垢材家具の相場を比較してみましょう。

突板家具の相場

突板家具は、無垢材家具の半分程度の価格で買えることが少なくありません。突板家具も天然の木を切り出して使いますが、薄くスライスするため使う木材の量は無垢材家具よりも圧倒的に抑えられます。その結果コストを大幅にカットして購入できるため、コストを抑えて木製の業務用家具を取り入れたい方は突板家具を検討してみてください。

無垢材家具の相場

無垢材家具は突板家具の2倍程度の価格が設定される傾向にあります。天然の木材をふんだんに使って仕上げる無垢材家具は、どうしても相場が高くなりがちです。業務用家具として導入する場合は、購入費用やメンテナンスの手間など考慮して本当に妥当かどうかを判断するようにしてください。

突板とは?突板家具のメリット・デメリットを解説まとめ

突板という言葉に馴染みのない方も多いですが、突板家具には無垢材家具にはないメリットがたくさんあります。特に大幅なコストカットを実現しながら美しい家具を導入できるのは、突板家具の大きなメリットです。
突板家具にも無垢材家具にも、それぞれ良さがありますので、両者の特徴を把握した上で、業務用家具としてどちらを取り入れるか決めてみてはいかがでしょうか。

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