オフィスの作業環境の整備は、従業員の生産性や健康維持に直結する重要な要素です。なかでも、オフィスチェアの高さと背もたれの調整は、快適な作業環境を整備するうえで欠かせない要素だといえるでしょう。従業員の正しい姿勢をサポートし、疲労を軽減するためには、オフィスチェアを最適な形に調整することが大切です。この記事では、オフィスチェアの高さと背もたれの調整について詳しく解説します。

オフィスチェアの適正な高さとは

オフィスチェアを適正な高さに調整することで正しい姿勢をサポートし、長時間の作業でも快適に過ごせるようになります。腰や背中への負担を軽減し、正しい姿勢を維持するためにも、オフィスチェアの適正な高さに関する知識を深めていきましょう。

高さ調整の重要性と基準

オフィスチェアの理想的な座面高は、地面から360〜450mm程度です。しかし、オフィスチェアの高さ調整は、従業員それぞれの身体特性や作業スタイルに合わせて行う必要があります。より具体的に判断する基準として、次のポイントに留意してください。

・足が床にしっかりとつく
・ひじがデスクに自然な角度で置ける
・目線がパソコンのディスプレイと同じ高さになる

足は床に平行になるように調整してください。足が地面についていない状態であったり、かかとが少し浮いていたりするような状態は座面の高さが適切ではありません。ひざから足先まで、体重がかかとにかけられているかどうかが重要なポイントです。太ももと床の間に適度なスペースがあり、ひざが90度に曲がるようにすることが理想のポジションと考えてください。

次に重要なのが、ひじがデスクにのる際に、腕が自然な角度を保てるかどうかです。一般的に、デスクは天板の高さが720mm程度の範囲が好ましいとされています。ひじの角度が90度ほど開く体勢がベストです。肩が力まず、腕を楽に動かせる状態を意識して調整してください。

さらに、目線がパソコンのディスプレイの中央部分と同じ高さになるように調整することも重要です。首や頭の負担を軽減し、目の疲れを防ぎましょう。

高さ調整の際の問題と対策

オフィスチェアの高さが合わない場合は、さまざまな体格や体型の従業員にフィットするように、チェアの高さ調整機能を使って調整してください。

その他、デスクの高さとの相性が悪いケースも考えられます。その場合は、昇降機能を備えた高さ調整可能なデスクの導入を検討してください。これにより、オフィスチェアとデスクの高さを調整し、理想的な作業環境を実現できます。

椅子の高さを上げる、下げる方法

オフィスチェアの高さを調整する方法は、大きく3つです。

・座面の高さの調整
・背もたれの角度の調整
・アームレストの高さの調整

オフィスチェアについている高さ調整レバーやボタンを操作して、座面の高さを調整します。足が床にしっかりつくように調整してください。

オフィスチェアには背もたれの角度を調整する機能があるアイテムも販売されています。背中にフィットし、正しい姿勢を保つために、背もたれを適切な角度に調整しましょう。

さらに、アームレストがある場合は、高さや角度を調整することも可能です。肩に力を入れずにひじが自然な角度に置けるように調整してください。

適切な座面の高さで作業することで、長時間のデスクワークにおいても疲労や不快感を軽減できます。

椅子の背もたれの役割と調整

会議室

椅子の背もたれは、身体の上半身をサポートし、正しい姿勢を維持するために重要な役割を果たします。適切な位置に背もたれを調整して、快適な座り方や腰や背中の負担を軽減していきましょう。

背もたれの高さの選択基準

チェアの背もたれには、次の3つのタイプが存在します。

・ローバック
・ミドルバック
・ハイバック

ローバックは、背もたれが低いためコンパクトで場所を取らないのが特徴です。複数並べても圧迫感がなく、狭いスペースには合いますが、背もたれの高さが低くなるほど長時間の作業には適しません。

ミドルバックは、ハイバックほどリラックスはできませんが、圧迫感を抑えて座り心地を重視したデザインのアイテムが数多く販売されています。

ハイバックは、サイズが大きくなるため圧迫感があるものの、長時間の作業でも疲れにくいのが特徴です。リラックスしやすく、デスクワーク中心のオフィスにおすすめのタイプといえるでしょう。

ヘッドレストと背もたれの関係

立っているときよりも、座っているときのほうが体には大きな負担をかけています。しかし、ヘッドレスト付きのオフィスチェアは後傾姿勢を取りやすく、首への負担がかかりにくいのが特徴です。

人間の頭は体重のおよそ10%を占めるほど重たく、重さが原因で姿勢を崩してしまう方も少なくありません。ヘッドレストを活用することで、疲れや眠気の軽減、肩こりや腰痛の予防、さらには集中力の向上などさまざまなメリットがあります。

背もたれを後付けするときの注意点

今お使いのオフィスチェアに背もたれがない場合、後付けすることも可能です。ただし、後付けする際は、椅子との互換性の有無を確認することはもちろん、正しい方法で取り付けてください。また、安定性と安全性がしっかりと確保できているかも確認する必要があります。

オフィスチェアの高さ調整ができないときの対策

オフィス

オフィスチェアの高さ調整は、快適な作業環境を確保するために重要ですが、稀に高さ調整ができない場合があります。ここからは、オフィスチェアの高さ調整ができないときの対策をご紹介します。

オフィスチェアの故障と修理方法

オフィスチェアは日常的に使用されるため、故障する可能性も考えられます。座面がへたってしまったり、破れたりした場合、そしてオフィスチェアの高さ調整機能や車輪が故障した場合は、メーカーや専門業者に修理を依頼してください。

高さ調整クッションの活用

オフィスチェアの高さ調整が完全にできない場合でも、高さ調整クッションを活用することで問題を解消できます。クッションの安定性を確認することはもちろん、適切な位置にクッションを設置することで快適な作業環境に整備できます。

油圧式とガス式チェアの違いと見分け方

高さ調整機能は、油圧式とガス式の2タイプです。油圧式は、油圧シリンダーを、そしてガス式はガスシリンダーを使用して高さ調整を行います。

油圧式のオフィスチェアは、ガス式よりも重くて頑丈なつくりになっており、耐久性も高いのが特徴です。油圧式の場合は、最短で2〜3年、最長で10〜30年ほど、ガス式の場合は長くても5〜10年で寿命を迎えます。油圧式のほうが割高となる傾向にありますが、長期的に考えるとコストダウンにつながるでしょう。

ダイニングチェアとゲーミングチェアの高さ調整

自宅でリモートワークをする際に、ダイニングチェアを作業用の椅子として代用される方も多いのではないでしょうか。また、長時間作業するためにゲーミングチェアを新調される方も少なくありません。ここからは、ダイニングチェアとゲーミングチェアの高さ調整についてご紹介します。

ダイニングチェアの高さ調整と子供用チェア

ダイニングチェアは、オフィスチェアと異なり高さ調整機能のついていないアイテムがほとんどです。そのため、オフィスチェアとして代用される際は、デスクとチェアの高さが合っているかを確認してください。

子供用のチェアの場合は、足かけの部分を取り外したり、追加したりすることで高さ調整できるアイテムも少なくありません。

ゲーミングチェアの高さ調整と問題点

長時間ゲームをプレイするためにつくられたゲーミングチェアは、高さ調整機能やリクライニング機能が搭載されているアイテムが多く販売されています。ただし、なかには調整機能が不十分だったり、不安定だったりするアイテムも存在するため注意が必要です。

高さ調整機能の有無はもちろん、操作性や安定性を担保するためにも、信頼できるメーカーの製品を選びましょう。

スツールとソファの高さ調節と背もたれの後付け

リラックスするための家具として人気のスツールやソファですが、一般的に高さ調整機能はついていないアイテムがほとんどです。高さの調整や背もたれを後付けしたい場合は、安全性を確保するためにも、メーカー専用のアタッチメントなどをつけて対応してください。

まとめ:最適な椅子の選び方と高さ調整のポイント

オフィスやデスクワークで使用する際の椅子の選び方や高さ調整の重要性についてご紹介しました。椅子選びの基準や高さ調整の注意点などについて確認しておきましょう。

椅子選びの基準とポイント

椅子を選ぶ際には、座面の高さの調整機能をはじめ、背もたれの調整機能やアームレストの有無など、作業ニーズや快適性を重視して選ぶことが大切です。また、作業する方の体格や身長に合わせた椅子を選ぶことで、長時間作業をしても体の負担を最小限に抑えられるでしょう。

高さ調整の注意点とおすすめの方法

高さ調整機能と一口にいっても、椅子によって調整できる範囲や機能は大きく異なります。高さを調整できる範囲をはじめ、脚部と床の角度が垂直かどうか、高さ調整クッションやヘッドレストなどのアクセサリーの有無などを確認したうえで、最適な椅子を選んでみてください。

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