日頃からデスクワークが多い人や長時間椅子に座ることが多い人は、腰に慢性的な痛みを抱えてしまっているケースが少なくありません。また、座り方の姿勢が悪いと腰への負担がかかりやすく、腰痛の原因になってしまいがちです。この記事では、腰痛の原因となる座り方について解説しますので、慢性的な腰痛にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
腰痛の原因となる座り方
椅子に座っているときは、どんな状態でも少なからず腰に負担がかかります。腰痛を抱えている人は、腰への負担がかかりやすい座り方をしているケースが少なくありません。どのような座り方が腰痛の原因になるのか、具体的な例を紹介します。
足を組む姿勢のリスク
椅子に足を組んで座る人は多く見受けられますが、足を組むことによって姿勢の歪みを生みだして腰痛の原因となるおそれがあります。これは、足を組んだことによって重心に偏りが発生し、骨盤周りの筋肉が足を組んだ方に引っ張られてしまうからです。筋肉にねじれが発生したことにより、骨盤の向きや周りに筋肉に負荷がかかって腰痛を引き起こす可能性があります。
猫背や前かがみの危険性
猫背や前かがみの態勢は、腰や腰回りの骨と筋肉への負担がかかりやすい姿勢なので要注意です。
日常的に猫背や前かがみの人は、背骨や背中の筋肉が常に丸まった状態で生活していることになります。常に背骨や背骨周りの筋肉が丸まっている=突っ張っている状態なので、椎間板への緊張が継続的にかかり圧迫されて腰痛に発展してしまうケースが少なくありません。
椎間板は背中にある軟骨部分で、骨と骨の間に存在することで重量や衝撃を緩和するクッションの役割を果たします。恒常的な負荷がかかることによって軟骨が摩耗し、機能低下による負荷が腰痛の原因となってしまうケースがあるので注意が必要です。
ずっこけ座りと腰への影響
ずっこけ座りとは、椅子などの背もたれに大きくよりかかってお尻が前に出ている状態です。いわゆる「ずっこけたような座り方」を表し、重心は背中に置かれて腰に大きな影響を与えると言われています。
ずっこけ座りは傍目には寝ているような姿勢のため、背中と腰を支えていない空間が生まれ、腰への負担が大きくなる態勢です。そのため、椎間板への負荷がかかり、腰椎のカーブに大きな影響を与える危険な姿勢とされています。
ずっこけ座りが習慣化してしまうと、背骨・骨盤・腰椎への負荷が継続され、椎間板ヘルニアなどの重大な症状を引き起こす可能性が高まるので、注意しなければなりません。
正しい座り方の基本
正しい座り方を心がけるだけで、腰への負担をかけずに姿勢を良くすることが可能です。ここでは、ただし居座り方の基本を紹介します。
骨盤を立てる重要性
正しい座り方の基本として、骨盤を立てることを意識するのが重要です。例えば、骨盤の位置が後ろにいくと背筋が丸まって猫背になり、前に行けば腰が反ってしまい反り腰の状態になります。
このように骨盤が前後どちらかの姿勢が続くとその姿勢が癖になってしまい、腰痛や肩こりなどを引き起こす原因になるので注意してください。座るときは骨盤を立てることを意識することが重要です。
背もたれの正しい使用方法
疲れたときは椅子の背もたれに寄りかかりたくなりますが、背もたれには身体の上体を支えて姿勢を安定させるのが本来の役割です。しかし、長時間姿勢を正した状態を続けるのも、疲労から姿勢が崩れる原因になります。
正しい姿勢を保ちつつ、疲労を和らげるには身長と背中、腰回りに合わせた調節機能がある背もたれが望ましいです。例えば、長時間のデスクワークには背もたれを高くし、背中と腰、頭や首をサポートできる範囲を広げることで身体の各部位への負荷を分散できます。
また、リクライニング機能を使う際は前傾・後傾ともに傾斜角度を90度から10度前後で調節するのが望ましいです。背もたれの傾斜を強めにすれば、気分的に一時的には楽に感じるかもしれませんが、骨盤を立てる姿勢が崩れてかえって疲労の原因となってしまうケースがあります。
あくまで骨盤を立てることを意識し、身体のサイズに合わせて姿勢を維持できる状態に背もたれを調節しましょう。
腰のサポートとクッションの活用
骨盤や腰回りへの負担を和らげるには、座った際の圧力を軽減させる腰サポートやクッションを活用するのがおすすめです。柔らかいクッションが腰やお尻への圧力を受け止め、座った際の負担や不快感などを軽減させてくれます。商品によっては姿勢の安定性をサポートしてくれるものがあり、長時間のデスクワークでも正しい姿勢を維持し続けることが可能です。
ただし、これらのアイテムは材質や素材の持つ特性、正しい姿勢を維持できる形状で選ばなければ腰の状態を悪化させるおそれがあります。間違ったものを使用していると、腰周りをサポートするはずのクッションが腰への負担を増やす原因となりかねません。
また、大きすぎるクッションは地面に足裏がつかず、姿勢を崩してしまう原因となります。クッションの種類にもサイズや機能性などがあるため、腰をしっかりとサポートできる身体に合ったものを選びましょう。
シーン別腰痛にならない座り方とは
日常生活では、座る場面が少なくありません。ここでは、シーン別に腰痛にならない座り方について紹介します。
デスクワークなど作業をするとき
デスクワークは長時間座るケースが多くなるため、いかに正しい姿勢を維持し続けるかが重要です。しっかりと足裏を地面につけ、椅子の奥に腰を深く座って背もたれで身体を支えるように座りましょう。
この状態で背筋を伸ばして、背もたれと腰、座面とふとももの間に指が入る程度の空間を空けるのがベストです。座ったときにおなかに意識を持たせ、腹筋を使うことで姿勢が安定したり、おなかのたるみを防いだりする効果が期待できます。
食事をするとき
食事のときも骨盤を立てる基本の座り方を維持し、食べ物の消化吸収をサポートする座り方を心がけましょう。姿勢が良ければ物を嚙む歯の力が左右均等に加わり、しっかり噛むことで歯や顎の負担を軽減させて食事の消化吸収を手助けします。食事の時間は大体20~30分程度座ることを想定し、おなかや腸に圧力がかからないように背筋を伸ばした食べ方がおすすめです。足を揃えて地面に足裏をつけてしっかり座り、おなかとテーブルの距離はこぶし一つ分の位置が適切です。テーブルの高さは、座面と天板の距離(差尺)を約30cm程度に合わせると良いでしょう。
車の運転をするとき
車は長時間運転をする場合、腰への衝撃や圧力がかかりやすいのでシートの奥に深く座りことが大切です。シートの角度は、足がブレーキペダルを深く踏み込んでも膝にゆとりが残るようにし、ハンドルのどこを握っても腕が伸び切らないように調節します。シートはやや高めに調整し、前方の死角を最小限に抑えてヘッドレストと頭を同じ高さに合わせると良いでしょう。
車の運転中は腰や肩への疲労を抑えるだけでなく、安全運転を維持するために姿勢を正す必要があります。
床やたたみなどに直接座るとき
直に床や畳に座る場合、腰への負担がかかりやすい状態になります。椅子に座るとき同様、骨盤を立てることを意識して、骨盤の底にある坐骨(ざこつ)で体重を均等に支える態勢を維持してください。
あぐらや横座りだと片方の坐骨に体重が偏りやすく、骨盤や体重を支えている腰回りの筋肉への負担が大きくなって疲れを感じやすくなります。床やたたみに直接座る際は、坐骨を意識した姿勢を保ちましょう。
腰痛を予防する椅子の選び方
腰痛を防ぐには正しい座り方が不可欠ですが、良質な椅子を選ぶことで腰痛予防の効果をさらに上げることが可能です。ここでは、腰痛を予防する椅子の選び方について解説します。
腰に負担のかからない椅子の特徴
腰に負担のかからない椅子とは、正しい姿勢をサポートしながら負担を軽減させてくれる椅子です。例えば、衝撃や圧力を吸収する柔らかい素材を使用したものや、しっかりと地面に足がつく身長に合った高さのものなどがあります。背もたれがある椅子は、背骨や腰を支えながら正しい姿勢をサポートすることが可能です。
ただし、素材が柔らかすぎると身体が沈み込んでしまい、硬すぎれば腰にかかる圧力や衝撃を受け止めてくれず負担が大きくなります。また、背もたれに大きくもたれかかると身体が反ってしまい、姿勢が崩れて腰に負担をかける原因になりやすいです。
自分の身長や用途に合わせ、高さや角度を調節できる機能性が高い椅子は、腰への負担を軽減しながら正しい座り方をサポートしてくれます。
クッションやサポートの重要性
クッションは身体を支え、柔らかい材質が体重や衝撃を緩和するなどのサポートをする役割があります。椅子にクッションを敷くことで腰を下した際の圧力を吸収し、腰痛緩和や予防に効果的です。また、柔軟性を上げつつ椅子の高さを調節するのにもクッションが役立ちます。
腰痛は体重や圧力による腰への圧迫が原因となっているケースが多く、いかに腰への負担を分散させるかがポイントです。日常生活で正しい座り方を意識しながら、クッションを活用することによって腰痛予防や改善を実現しましょう。
人気の腰痛対策グッズとその効果
人気のある腰痛対策グッズは、機能性だけでなくデザインやカラーリングなどがユーザーから好評です。腰の状態や身体のサイズなど個人差はありますが、人気の高い商品にはそれぞれ理由があります。人気のある腰痛対策グッズは、効果や価格帯などのユーザーニーズが商品のコンセプトと合っているかがポイントです。日頃のストレス解消や慢性的なものなど、腰痛緩和や予防を目的としている人気グッズの場合、価格帯は高いながらも効果的な商品が多く少なくありません。
腰痛に悩まされている人は腰痛対策グッズを機能性で選ぶ傾向ですが、日常的に使うならインテリアとしてのデザイン性を重視する人も多い傾向です。商品コンセプトがどこを重視しているかによって、得られる効果にも差が生まれます。
腰痛対策グッズを購入する際、なぜその商品が人気なのか売りとしているポイントを見極め、使用者の身体や腰の状態、目的に合わせたものを選ぶことが重要です。
まとめ
腰痛は日常的な姿勢の悪さで発症したり、悪化してしまったりするケースがあります。特にデスクワークの多い人の場合、普段の座り方を見直すことで、腰痛予防や痛みを緩和させることが可能です。椅子などに座るときは、骨盤を立てるイメージで背筋をピンと伸ばした正しい姿勢を心がけてください。
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